余話 蕗乃棟《ふきのとう》

 少子高齢化・人口増加、そして能力者の発生により、世界全域に渡り荒んでいる現在。政府はその対抗策として、心体に問題を抱える少年少女たちを秘密裏に集め、世界中にチームを作り配置した。


 そして日本。ここでも選ばれた少年少女計13名が、政府から与えられた施設で暮らす。


 『暖かい心』を失くした少年、リーダーのヒート。両腕を失くした少年、副リーダーのヴレス。『意思を貫く強さ』を失くした少女、ハード。視力を失くした少女、アイ。『熱心に取り組む姿勢』を失くした少年、フリーズ。『冷静に物事を判断する力』を失くした少年、ファイ。『正しいものを見極める力』を失くした少女、セキライ。『心のゆとり』を失くした少女、エンク。『子供らしい愛らしさ』を失くした少年、ルート。両足と『瞬時な判断力』を失くした少年、シーナ。『自己愛』を失くした少年、タータ。『人間味』を失くした少年、クロード。『思考の柔軟さ』を失くした少女、ポポ。

 彼らは政府に貢献することで、結果に見合った報酬を得、生計を立てている。


 彼らの仕事、それは――殺人である。


 成人以上のヒトの過密により爆弾を抱えることとなった政府から届く依頼、社会に貢献できず切り捨てられた人間の抹殺。これを果たす彼らは皆、チームに所属させられる以前にも殺人を犯し少年院や児童相談所に入れられていた過去を持つ。中には元々をしていた者、死罪を宣告された者も混じっている。


 日本のチーム名は、蕗乃棟ふきのとう。フキノトウの花言葉、「処罰は行わねばならない」にちなんで付けられた。


 彼らの戸籍は勿論、蕗乃棟の存在、そして彼らのしていることは政府により隠されている。例えチーム間であっても互いの本名は明かされず、彼ら自身から口を割らなければ過去の経緯を知ることもない。だが、例え記録から抹消されたとしても、それが記憶から消されることはない。彼らもまた、異能力さえなければ普通の少年少女と何ら変わりはないのだった。

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CHING! 風麗音 @BRAIN_3333

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