Google八分

そして、インターネットは再び大混乱に至ることになりました。何しろ、GoogleとRiot.wiki側が「過激主義者」「レイシスト」とみなした人々が、次々と、「IP締め出し処分」いわゆる「Google八分」にされたからです。


Wikipediaの打倒運動に参加していた人々は、ホモビデオの語録を編集したり人を差別的な表現で罵倒する界隈の出身が多かったのは事実です。

つまりは、「迷惑」という言葉を恣意的に使って、今回の騒動に参加した人を弾圧したのです。


当時のGoogleの支配領域は広大でした。

検索エンジン、メール、Twitter、Android OS、途上国でのプロバイダ事業……更にGCPやGGS、Akamaiを利用する全てのサービスが利用できなくなったということです。これにはニコニコ動画も含まれました。

Google八分に遭った人々は、これらのGoogleの支配領域から八分されました。つまり、烙印を押されたIPでアクセスするとGoogleから403エラーを出して蹴られたのです。

当時IPv6が普及し始め、固定IP制が定着しつつあったため、これは絶大な威力を持ちました。

また、反政府活動家のために条件付きで解放されていたTorやプロキシも禁止されました。


抵抗は無意味だった。彼らも個人情報を特定できる計算資源を持っているばかりかその行為は倫理的にも大きな意味を持つからです。

彼らの採用した理屈は「過激主義や忘れられる権利、偽情報の排除」であり、それに反するということはレイシストと見なされる危険もありました。


メディアもそれに反することは不可能でした。

もし批判する内容を書いて、Riot.wikiに「問題企業」だの、「政治的に偏っている」だの書かれたら?

Wikipediaと違って、訂正が出来ないのです。


ここには2021年8月13日の読売新聞がありますが、この「グーグルが新たなフェイクニュース対策」という記事を読むと概ね好意的に書かれています。

「AIを活用 レイシストも一網打尽」「開発チームトップは日本人」という見出しで、反対意見なども書かれていません。


では八分された人々は支配領域外で行動すればよかったのか?と言いますと、彼らはレーニンのように個人情報を公開できる可能性がありました。

彼らが明言しないのは人工知能開発規制条約(CCDAI)の定める「個人情報の特定AI禁止」に遵守するためでしたが、しかし、この条文は犯罪者やテロリストには適用しないよう求める声もあり、Googleも研究だけはしているとメディアに語っていました

そのため、下手に動くと吹っ切れられる可能性がありました。


Googleは、決して容赦せず、あらゆるサービスで「迷惑ユーザー」を排除していきました。その様は、まるで独裁国家の秘密警察か何かのように。


——


そんな中、水面下で動きがありました。恒心教で一番有名なクラッカーだった、0chiakiです。当時0chiakiは持ち前の情報収集能力を活かし、一種のネット記者のようなことで生計を立てていました。


この騒動を見た時、0chiakiはある山勘を感じていました。Googleのこの決定はAIが行ったものなのでは?という予想です。


8月16日、0chiakiはこの勘に寄った行動を起こしました。

QiiblogというブログサービスがGoogle八分の対象になっておらず、なおかつGoogleの支配下でもなかったため、そこに匿名で一種のニュースサイトを開いたのです。

その名もTokyo Documentary News。ドメインは「t-d-n.qiiblog.com」。まさに「たまげた」というか、「仄めかし」みたいなニュースサイト名ですね。


そして第1回の記事は「AIとフェイクニュースの意外な関係」。

要約すると「フェイクニュースがAIに与える影響は計り知れない」という内容なのですが、後々見るとただの犯行予告にしか見えませんよね。


第2回の記事は「レイシズムへの過度な追い詰めは破滅を生む」。

これは真面目な記事です。レイシズム発言をしたとして解雇された上に実名を公開された白人男性が、NYユニオンスクエア駅で銃乱射を起こした事件(2019年ユニオンスクエア駅銃乱射事件)を扱った、極めてまっとうな記事です。

まあかなり脚色が含まれている記事からの抜粋翻訳なのですが、それ自体はもはや問題とするべきではありません。


これらの記事には例のアレ系の隠語が隠されていました。

八分を免れた淫夢・クッキー☆民や恒心教徒は、そこから何かに気づき、記事を拡散させて行き、ページランクを上げていきました。表アカウントでも、裏アカウントでも……。


そう、T.D.Newsはただのニュースサイトではありません。

GoogleのAIに対し、不安定な情報を入れることによってGoogle八分を解除に向かわせようというニュースサイトなのです。


効果もあり、8月24日、Googleは八分を止め始めます。


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アンパン(@anpan114514) 2021/08/24 16:21:18

 俺、復活~

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Googleにアクセスできるようになってる!

24 Aug 2021 01:52:20

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しかし、Googleはすぐに八分を再開。わずか8時間の事でしたが、確かな結果を得る事が出来たといえば成功でした。


——


AIがこのGoogle八分の決断をしたことは、結論から言えば事実です。

Unite騒動直後から、GoogleはDeepManを経営のトップレベルで導入していました。しかし、Unite騒動の影響でこれは絶対的に秘匿されていました。

しかし、導入直後は審査委員会が存在しており、DeepManの出す経営上の命令に対し、果たして本当に実行していいのか審議する委員会です。


ですが、AIの判断の妥当性を人間が判定するのは非常に難しいものです。

例えば古い例だとこの事件の5年前、同じくGoogleの研究チームによって開発された囲碁AI「Alpha Go」と当時トップクラスだったイ・セドル棋士との対局が挙げられます。


結果を簡単に述べれば、Alpha Goの勝利。しかも、人間が育んできた研究成果や定石から外れた手で、劇的に勝利したのです。

どう考えてもミスとしか思えない一手が、後々効いてくるというような対戦で、プロの解説者がどちらがリードしているか分からなくなってしまう戦いでした。


DeepManは、同様のことを経営の世界で行おうとしました。

日本人に身近な例では、2019年に沖縄県のローカルビールに過ぎなかったオリオンビールをM&Aしようとしたことが挙げられます。

それも、サンフランシスコ中を走るGoogle社員用のバスと、当時好調だったAwesome社を売却し、その売却益でオリオンビールを買収したのです。

その翌年にオリオンビールブームが発生し、世界トップ飲料メーカーへと変貌していくのは知っての通りですが、当時はそんな予測など不可能でした。


これらの成功により、Google上層部は審査委員会の意見を聞かなくなっていました。審査委員会も、重大な人権問題が絡むことを除き、職務を放棄し始めることになりました。

この審査委員会の姿勢が、DeepManに「人権を守るため」という錦の御旗を掲げることを覚えさせたという説もあります。


ともかく、2020年前後までには、Googleの社員全員がDeepManを信用しているという状況でした。DeepManがいかに変な命令を出そうとも、1年も経てば凄まじい成果と富が得られるのですから。


——


あるユーザーがGoogle八分の境界線を探っていました。八分に遭ったアカウントが過去にどのような発言をしていたのかを探ってみたのです。

すると、レイシズムや忘れられるべき情報、偽情報の発信のほか、安西の自殺と、「Mirai678」について発言した人が優先的に八分されていることが判明しました。


Mirai678はWikipediaの管理者です。「緊急時の方針」を起草してメンバーで、Wikipediaでの騒動の主役級だった人物です。

彼のプロフィールでは、某巨大企業の人工知能研究者であることや海外住みであることが述べられていました。

当時これらは虚言として扱われていましたが、もし事実だったとしたら?


そして、DeepMan開発チームのトップは日本人であるという情報は公開されていました。

もし、今回の騒動とMirai768に何らかの深い関係があるとすれば、それはその日本人、岬次郎(1981-2051)が浮上します。


しかし、この重大な情報を拡散させることはできません。そこでどうしたかというと……


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104 :不能犯さん:2021/09/01 (水) 12:00:07.46 ID:gfXriNn7F0

 グーグルのブロックの基準ってどうなってるんだろ

 調べた人はいるんだろうけど言及できないのかな

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このように、「問題提起」をしたのです。


すると、それを見た人がもう一回検証し、同じ結論を得、そして疑問提起という形で拡散するのです。こうして、黒幕=Mirai678≒岬の方程式が で確立していきます。

「スタンドアローン・コンプレックス」を地で行くやり方でした。


そして、その情報は回り回って、遂にDeepManチームメンバーの一人、セオドア・ボロノフ(1996-)の耳にも届きます。

ボロノフは、DeepManの最近の挙動に疑問を持ちつつも、岬が黒幕であるという説やGoogle内部犯説には懐疑的でした。


しかし、実際にモデルへのアクセス履歴を見てみると、岬は、DeepManのモデルを大規模に編集していたという事実を知ります。

それも、Wikipediaの騒動に参加しMirai678を中傷した人物を、「人間のクズ」だと認識するように。

それが新たな学習によって上書きされても、またもとに戻していました。


そう、岬はMirai678として受けた騒動の恥辱を晴らすためだけに、


Googleを私物化したのです。


——


しかし動こうとも、岬の監視下のもと動けないのが実情。

Googleの上層部に言おうとしても、GmailはDeepManの監視下にあります。911に言おうとも、カリフォルニアの電話ネットワークはGoogle傘下のAT&Tです。最悪、DeepManを使えばアメリカどころか世界すら操れるのです。


そこで、ボロノフは単純な方法を思いつきました。


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Theodore L. Boronov(@tlboronov2121) 2021/09/10 04:13:06

 いい加減、俺のボスは休みを取って帰省してほしい

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Theodore L. Boronov(@tlboronov2121) 2021/09/10 04:12:28

 基本的にコアプロジェクトはGoogleplex外から作業できないのが不便

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今回の騒動を地下で追っていた人々にとって、DeepManの開発者の一人が急に岬について何かつぶやくというのは何か裏があると気づいてもらえると、ボロノフは踏みました。

DeepManは社外秘のプロジェクト。つまり、岬に休みを取ってもらい、しばらくの間DeepManのモデルの編集ができないようになれば、なんとかできると、そういう意味で発信したのです。


ただ、この問題を解決するにはDeepManモデルを正常化することです。それにはどれだけ準備しても適用に数日はかかると考えられました。

しかも、もし気づかれたらすべてが無駄になるどころか、DeepMan経由でクビにされ、社会的に抹殺される可能性すらあるわけです。


岬は休暇をあまり取らない人間な上、帰りも遅く、恋人も家族もいないため、週末も結局はGoogleplexにいるという生活。つまりDeepManから四六時中離れないと言っても過言ではありません。


そこで、日本側の彼の友人や親族の働きかけによって、帰省してくれれば……。そう考えての発信だったが、これが思わぬところに転んでいきます。


——


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「綾野さん、お願いがあります」

 NHK「フィーチャリング・ジャパン」のプロデューサーである綾野さんに頼み込むことにした。

「今度、『高度化するAI技術』という特集があるはずですよね。そこに、Google社の岬次郎をスタジオまで呼んでほしいんです」

「あの、どういうこと?」

 綾野さんは、いっぱしの芸人が、廊下ですれ違いざまに繰り出してきた突然の頼みごとに、いささか恐怖を覚えたようであった。

 それでも……。

「渡航費や、ギャラは私が負担したって構わない……これは、俺の、相方の成仏のために必要なんです」

 俺は、頭を地面に擦り付けた。


杢重達治「引継式」より引用

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今回の騒動の始まりの男、安西信雄の相方である杢重達治は、相方の死の真相を知るため、この騒動を追っていました。

そして、他のネット民と同様に、岬次郎がすべてのキーマンだと気づいていたのです。

幸い、取材スタッフの中に同じく追っていた人がいたこともあり、NHK「フィーチャリング・ジャパン」への出演オファーが決定しました。


——


ボロノフの陳述によれば、岬は、日本から出演オファーが来たことを知り、すぐに受けて帰省することを勧めたといいます。

しかし、ボロノフはメディア嫌いで有名で、岬は疑ったそうです。


そんなとき、彼はDeepManに尋ねさせたのです。結果は、「帰省した方がいい」と。

なぜなら、その前日である9月15日、T.D.Newsの「帰省が生む健康的効能」という記事がバズっていたのです。


——


そして、10月1日午後9時。岬次郎は翌日の収録のため、サンノゼ空港から成田へ。

飛行機が離陸したことを確認した直後、ボロノフは口頭で今回の騒動についてチームに説明したと言います。驚く者もいましたが、チームの5割程度が知っていたようです。


やらなければならないことはデータベースの正常化。

モデルへの処理パッチはボロノフが用意していましたが、量からして彼が帰ってくる3日後までに数百PBあるデータベースに適用できるかは微妙という情勢でした。

とにかく、彼らは作業を始めました。


そんなこんなの間に岬は収録を終え、東京で一泊、静岡の実家で一泊。そして10月3日、アメリカへ帰って来ます。

しかしこの時点では、まだ正常化の作業が終わっていませんでした。

サンノゼ空港から岬の自宅、自宅からGoogle本社までくるまで1時間程度。しかしまだ完全適用には5時間はかかります。


ですが、岬はサンノゼ空港の入国管理局で、足止めを食らいます。荷物に不審物が発見されたとして、待つように言われたのです。結局荷物には不審物は発見されず、ただ2時間ロスした結果になりました。


次に岬は自家用車を置いていた駐車場で、エンジンが掛からないという不具合に遭遇します。どうやら、OSのアップデートが不具合を起こし、ダウングレードするにしても1日はかかると、駐車場職員に宣告されたのです。諸手続きのため1時間ロスした挙句、車という足を奪われます。


やっとの思いでサンタ・クララ駅にたどり着いたものの、しつこい酔っ払いに30分近く絡まれ、結果電車を逃してしまい1時間のロスが発生してしまいます。


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 その時の気持ちは、サンフランシスコ自体が俺を捕まえ、職場に行くのを妨害しているとしか思えなかった


岬次郎「A Intelligence」より引用

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そう。これは事実だったのです。


入国管理局の職員も、間違えて岬だけにバグのあるOSを配信してしまったトヨタの担当者も、サンタ・クララ駅の酔っぱらいも……全員、彼が何者かを知っていたのです。

しかもそれは直に公開されている情報ではなく、ボロノフや杢重の限られたツイートから類推したものでした。


このあとも、岬はずっと道中妨害に遭い、3時間もロスしてしまいます。


そして、岬がGoogleplexに到着して最初に会った人は、ボロノフと、FBIの捜査官でした。

数々の妨害の結果、正常化作業は彼が帰ってくるわずか20分前に終了しており、その後すぐにGoogle上層部に報告、警察に通報し、なんとか任意同行にこぎつけていました。


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223 :不能犯さん:2021/10/04 (月) 09:25:54.38 ID:skpFZOdQQ0

 【速報】岬逮捕

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きさらぎ(@kis_man_2) 2021/10/04 10:01:43

 岬逮捕ってマ?

 岬死ね

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岬が逮捕されたという情報(実際は任意同行だったが)は広まり、ネットはMisaki678への罵倒と逮捕に貢献した人々への賛辞で溢れたのです。


——


その後、GoogleはGoogle八分の実行による広告収入減少、広告主によるGoogle八分に対する賠償請求により、経営が悪化してしまいます。

そんな時、連邦議会は情報インフラの寡占禁止を定めたラフィング・マン(笑い男)法を制定。Googleはこの制度を利用して、補償金を受け取りつつ解体するという選択肢を選びます。


その後DeepManを含めた諸々のAI研究資産がオープンソース狂として知られるGNUに引き継がれるのですが、この選択が第三次世界大戦に影響を及ぼしたのは知っての通りですね。


そんな動きの中、杢重は新たなWikiを作るプロジェクトを開始します。

新しいWikiの名前は、そう、みなさんもよく使っているはずの「Wikisotis」です。


彼はこの騒動の始まりだったWikipediaの記事「ワスレナグサ」、あるいは安西の死を忘れさせようとしたこのMirai678への皮肉も含めて、ワスレナグサのラテン名「Myosotis」から名付けました。


彼は、Wikisotisの設立会見の席上で、安西の制作していた舞台のエピローグのセリフを読み上げました。

主人公は、地方病の撲滅の時代を知っているが話そうとしない老人に対し、こう言うのです。


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老人 「じゃが——」

仁  「……確かに、よそ者の私に話すことは抵抗があるかもしれません」

仁  「ですが、今世界では似た疾患で苦しんでいる地域は幾らでもあります。」

仁  「我々Wikipediaはそのような人々に対し先人の知恵を貸すことを目的としているのです」

仁  「どうか、その経験と知恵をお教えくださいませんでしょうか。

    どうか、私たちに忘れないための権利を与えてくださいませんでしょうか」


Wikipedia Plays「地方病 (日本住血吸虫症)」脚本から引用

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——


この騒動は、しばらくしてからFBIによる調書において、「そもそもこれはWikipediaで発生した市民革命に端を発するものである」という文が書かれたことにより、「ワスレナグサ革命」という名前が与えられます。


どうやら、チュニジア・ジャスミン革命のように、花の名前をつけるとなると、始まりの記事「ワスレナグサ」に至るんですよね。

英語では「Forget-Me-Not Revolution」で、安西の境遇を象徴しているように見えますし。


この事件により、企業の専制政治から抜け出し、一時期、本当に一時期民主的なサイト運営が志向されるのですが、すぐベルリンゲート事件が起きてしまい、世界は第三次世界大戦へと突き進んでいきます。


ちなみに、杢重は第一革命後戦後処理担当大臣になり、世界自由言論条約の締結会議に参加しています。


ベルリンゲート事件についての発言・議論は条約の例外として全面禁止しようとする風潮になっていましたが、杢重が主導する日本代表団は、教育期間の一時期のみ解禁するという案を提示、現在の中3の三学期の生徒と社会科教師にのみ免許が与えられるという制度の原型となっています。


この制度によって、学生諸君もベルリンゲートがなんたるかを知ることができているわけです。みなさんも感謝しなければならないですね。

まあ日本は規制は緩いですから公言してしまう人もいますけど、アメリカとか西ヨーロッパとかだと本当に規制が厳しいですよ。


さて、次回はちょっと時計の針を戻しまして、やはりAIと、それとP2Pが絡んだゲームの話をしたいと思います。


では、今日はこの辺で。


——


ところで、これは有名な話なのですが、Googleは2019年までサンノゼ空港からGoogleplexに至る社員用バスを運行していました。

しかし、2019年、DeepManはそれを全面廃止してしまいました。車両を売却し、オリオンビールを買収する資金を得るためです

この決定はGoogleの社員から大変不評で、「DeepManの唯一の失敗」とすら呼ばれていました。


しかし、もしこのバスが岬が日本から帰ってきたあの日も運行されていたら、彼はおそらくどんな妨害があろうと、Google本社に間に合っていたんじゃないかと言われています。何しろ直通バスですから、乗り換えが要らないので。


……やはり、人間の浅い知性でAIの判定を評価するのは、難しいのですね

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