第6話(最終回) きっと幸せになる
祐喜人が日記に書いていた別れさせ屋の弁天様がいるという神社に、最後のデートとして訪ねることにした。
非モテ日記を私が全部読んだと知った祐喜人は
「よく引かなかったね?!」
と驚いた。
「たぶん元カノさんも読んでるんじゃないかなー?」
と煽ってみると、
「うわーそれは恥ずかしいなー」
と全然恥ずかしがらずに頭を掻いて照れるふりだけした。内心どう思っているのやら。
神社は海に囲まれていて、何も知らなければ本当に絶景スポットだ。
少し雲で陰り、海の波が暗く高くなってきた。
「さあリア充達が弁天様の怒りで滅んでいくよー」
祐喜人は小悪魔じみた笑顔で私に囁く。やっぱりふざけた人だなぁ好きだなぁと思いながらも、
「元カノさんとはうっかりここに来ないでね」
と忠告してみた。
「そうだね! それは気をつけないと」
ここにいる多数のカップルの中で私達だけがこの神社の本当の意味を知っていた。
私と祐喜人は、悪戯っぽく笑い合った。
ここは私と祐喜人だけの思い出の場所になった。
「まあ、これからは普通の知り合いになりましょう」
別れ際、そう言って手を振った。雨になるかと思っていた空はからりと晴れていた。
「今まで、本当にありがとう!」
祐喜人は手を大きく振り返した。
この先、もう会うことはないかもしれないけれど、二人がそれぞれの道で幸せになれるといい、と私は願った。
祐喜人との日々 詩月みれん @shituren
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