第5話 静子の決意

祐喜人の日記を探る。

祐喜人の過去を捲る。

私とも元カノとも出会っていなかった頃の彼。私と先に出会っていたら、最後の更新は違う記事になっていたのかな。こんなには褒めてくれなかったかもな。私とだったら、もしかしたら元非モテカップルの自慢日記に切り替わって続いていたりして。

そんな「もし」は存在しないのだ。

「この子とずっと一緒にいたい。この気分がずっと続きますように!」

祐喜人の気分はずっと、私じゃない子に向いている――。


終了を告げた日記のコメント欄は、妬む声惜しむ声、様々だった。

非モテだった頃のユッキーはそれなりに愛されていたらしい。

コメント一覧を眺めていた私は、更新の日付より数か月後のコメント「さよならユキト」が目についた。ユッキーのことを本名のユキトで呼ぶこのコメントの主は、もしかして……?


果たしてコメントの主も日記を残していた。女優を目指す軌跡を。

彼と付き合っていた思い出から、彼と水山駅で別れて上京したこと、そして――。

「もう女優になるのは諦めます。彼の元に帰って泣きたいけど、もう遅いよね。。。」

そう、締めくくられていた。

わあああ、これは、これは……。



その記事そのままをプリントアウトして、祐喜人に突きつけると、祐喜人は膝から崩れ落ちた。元カノにコメントされていたことも、彼女も日記をつけていたことも知らなかったらしい。

「これを見せて、静子さんは、僕を……」

「とっても好きだよ。でも、祐喜人さんを幸せに出来る人は私じゃないから」

私達は、別れることにした。

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