第4話 告白
「私と誰かを間違えてる時があるでしょ」
震える声で、そう切り出した。
祐喜人は
「そんなことは、」
と大げさな仕草で首を振ったが、私の様子を見て、
「静子さんと会う直前に、結婚を約束した元カノと別れたんだ」
そう、告白した。
彼が見ていたのは、ずっと私ではなかった。
クイズKINGにも元カノと一緒に応募していた。
優勝してその際にプロポーズするつもりだった。
しかし元カノは上京して女優になる夢を諦めきれず、祐喜人の元を去った。
婚活パーティーに参加したのも、自棄になってのことだった。
「――、でも、静子さんとも長い時間を過ごしてきて、今、僕は静子さんが大切に思えているんだ」
眼鏡の奥で苦しそうな瞳が私を見ている。
彼の一番が私じゃないとしても、私は彼を救うことは出来る――?
(早く忘れて私のものになってよ)と(そんなに好きなら元カノを東京まで追えばいいじゃない)が心の中でせめぎ合っていた。
私と祐喜人とは、結婚まで、行けるのだろうかという大きな不安が波のように襲う。
私だって、祐喜人と結婚するなら親元を離れて祐喜人の実家か職場の側に住むことになるだろうし。
進む道は真っ暗で、先が見えなかった。
付き合いたての頃は何も見えなくても洞窟探検のようでわくわくしたのに。
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