第2話 クイズKING

二週間後、私はクイズ帽(答える時にボタンを押すとシルクハットのてっぺんから鳩が飛び出す仕掛けになっている。何故……)を被って祐喜人の隣に座っていた。祐喜人の眼鏡+クイズ帽姿は紳士然としていてなかなか似合っていた。

これはバトルもので静かな強敵として現れそうだ。

……ちなみにまだクイズKINGは予選の段階である。

「静子さんは期待してたかも知れないけど、まだテレビには出られないよ~?」

手を組んで、やっぱり悠然と問題を待ちながら石川祐喜人は言った。べっ、別にー、

「テレビにどうしても出たかったわけじゃないですー」

そう言いながら、予選とはいえ大勢の中でピンポン押す勇気が出ず、一度も頭の鳩を出すことも出来ず終わってしまった。一度は私のつぶやいた言葉からヒントを得て、祐喜人が正解した瞬間はあったのだが……。


暗い帰り道を行く途中、もうクイズKINGに出演する機会はないんだろうな、と思った。そして一緒に目的を果たせなかった祐喜人とももう会うこともない……。

「ポイント取れなくてすいませんでした」

「いや、静子さんがヒントをくれたからあそこは行けたんだよ~」

そんな感じで、反省会が行われて、束の間のコンビは解散して、

「それで今度はいつ会う?」

え?

私は、祐喜人の顔を見上げた。クイズKINGに出られなくて、さぞ気を落としたと思いきや、そこには変わらず営業かと思うくらいの爽やか笑顔。

「ああ、ごめん。また会ってくれるかな?」

次に、繋がった――。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る