俺と彼女の冴えない日常#
@budoutou
夏休み入りたてなんてこんなもんです。
「以上で夏休みに関する説明は終わるが、
各自、受験に向けてしっかりと勉強するように。」
毎年の事だが、夏休み前の担任の発言は大体決まっている。しかし今年に限ってはその発言に異論はない。
俺、安芸倫也は今年で高校3年生。
以前は、サークルを立ち上げたり、ゲームを作ったりしていたが、今は活動していない。
と言うより、受験期に入って出来ていないが正しいか。なのに……。
「安芸君の家でお泊まりするの久しぶりだな~。」
彼女は加藤恵。
俺と同じ高校3年で俺の
「そんなにか?1ヶ月ぶりくらいだと思うけど。」
「もっと経ってるよ~!でもよく考えたら安芸君て凄いよね~。これだけ女子がお泊まりしてるのに、1回も間違いが起きてないなんてさ~。」
「俺も誇ったらいいのか悲しんだらいいのか分からないです……。」
何故こんな状況になっているのか、それは今から1時間程前まで遡る。
「安芸君?帰らないの?」
「あぁ、加藤。今帰ろうとしてたんだ。」
「そっか~。じゃあ一緒に帰らない?」
「おっ!流石は俺のメインヒロイン、下校イベントか!帰る途中に雨が降って雨宿りとかありそうだな!」
「ちょっと言ってる事が分からないけど。この後気温が上がるみたいだから、早く帰ろうか。」
加藤の眼差しが怖い。
「そ、そうですね!早めに帰りましょう!」
こんな加藤との会話も、残り半年。
当たり前だった生活が、当たり前じゃなくなる。そう考えると、少し寂しい気がする。
「安芸君は夏休み何処か行ったりするの?」
「流石に勉強するかな、大学受験難しいって聞くし。」
(勿論、勉強より新作ラノベやアニメのチェック等を優先するつもりだけど。)
「そっか~。じゃあ私も今日は安芸君の家でゲームしようかな~。」
「それがいいと思うよって加藤さん!? 勉強は!? 受験生だよ!? そもそも私もってどういうこと!?」
「え~?だって安芸君が勉強より優先するって言ってるから、私もそうしようかな~って。」
「なんで人の心の声聞こえてるの!?」
「聞こえてるって言うか、安芸君ならそう思ってるだろうな~って。」
「もう頭上がらないです……。」
と言う流れで、今に至る。
勿論泊まりと行っても勉強ばかりをするわけじゃない。ゲームしたり、雑談したり、パソコンいじったり……。
「やばい…。受験生の生活じゃない…。」
「でも私はこんなゆっくりできる時間も必要だと思うな~。」
「まぁ。それもそうだな。」
「ここ最近は、期末テストに模試、センター対策講座とかで大変だったからね~」
「特に期末テストはな……。」
「ところで加藤。さっきの質問なんだけど。加藤は今年何処か行ったりするのか?」
「予定は無いけど、好きな人と旅行くらいはしたいかな~。」
「加藤好きな人いるの!?誰々!教えてよ!」
「はぁ。」
加藤は大きくため息をついた。
「そんなんだから安芸君は安芸君のままなんだよ~。」
明らかに加藤の機嫌が悪くなった。
誰が見ても分かる。
「ごめん!加藤!俺なにか加藤に悪いこといっちゃった?」
「安芸君のごめんはやっぱり安っぽいんだよね~。」
ムスッとしながら加藤はパソコンに何かを打ち込んでいた。
『好きな人って安芸君のことなのに。』
「ほんと、何だかな~って感じだよ。」
「えーっと。じゃあ、一つだけ!加藤の言うこと何でも聞くから!それで勘弁して下さい!!」
「なんか今日の安芸君、中学生みたいだね、でもしょうがないから今回はそれで許してあげる。」
グサッと、胸に何かが刺さる音がした。
「何をすればいいでしょうか……。」
「じゃあ私とお出かけしようか、お泊まりで。」
俺と彼女の冴えない日常# @budoutou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。俺と彼女の冴えない日常#の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます