第3話 放課後は、友達と遊びでも・・・いいえ、現場調査が優先です
「先生の名前は、柊 晶穂と言うんです。Bクラスの副担任で皆さんと同じで、今年から先生一年生です。一年間よろしくお願いしますね」
「続けてで悪いが、私が担任の、一ノ瀬 繭里だ。諸君らには、力に驕ることなく健全な高校生活を過ごしてくれることを期待する。以上」
担任と副担任の自己紹介が終わり、出席番号一番から自己紹介が始まる。
副担任の柊先生は、教員に成り立てもあり、生徒と同じ目線で見てくれそうな先生である。物理的な目線は相当低いが・・・ただ、服装はフリルが多い少女趣味の服なのが、余計幼さを醸し出している。
正直、中学生と言っても信じてしまいそうである。
担任の一ノ瀬先生は、一言で言えばクールビューティー。リクルートスーツ姿が似合う出来る女性という感じだ。
つつがなく自己紹介が進んでいく中、誰かのカバンから何かを取り出したのだろう、『カチッ』という音が響いた。
司がすかさず、椅子を引き左脇のホルスターに収められているベレッタM9A1に手を掛ける。
「君は・・・・どうした?出席番号27番 幸城 司」
突然の先生の呼びかけに、司の意識は戦場のものから日常に戻る。
「すいません、一ノ瀬先生・・・寝ぼけていました。陽気が気持ちよくて・・・」
「陽気が気持ちよくて眠くなるのはわかるが・・・もう少し集中するように・・・それに涎を垂らしていては可愛い顔が台無しだぞ」
クラス中にどっと笑いが起こる。司は顔を真っ赤にして席に着席する。その際、音の方向を確認するのを忘れない。
(あの音は、撃鉄の音だと思ったのですが・・・気のせいだったみたい・・・ですね。気の張りすぎでしょうか?)
「次、27番 幸城 司」
「は・・・ふみっ・・・」
立ち上がろうとして、後ろ髪が引かれて変な声がでてしまう。
後ろを振り向くと、ショートボブの女の子が僕の髪を一心不乱に編み込んでいた。
「あー・・・28番 宵森 縁さん・・・幸城 司君・・・?さん?の髪が綺麗なのはわかりますが、勝手に編み込むのは駄目ですよぅ」
宵森 縁は呼ばれても気づかないくらいに夢中に編み込んでいる。司は苦笑しながら中腰の体勢から動けないでいる。
隣の席の女の子が、『ゴンッ』と音がするくらいに拳骨を頭に落とす。
「ふぎゃ・・・痛い・・・明日迦何するの?私はこの綺麗でいい匂いのする髪を愛でるのに忙しい・・・邪魔しないで・・・」
「邪魔するよ!絶賛邪魔するよ!司ちゃん・・・でいいよね?が困ってるじゃない!」
「大丈夫・・・司も愛でられて嬉しいはず・・・私は愛でて嬉しい・・・司は愛でられて嬉しい・・・WinーWinの関係。どやぁ」
「はぁ・・・そのドヤ顔がムカつくわ・・・」
またもや、教室内に笑いが起こる。やっと髪を離してもらって司は今日最大の爆弾を投下する。
「幸城 司です。えと、男です」
一瞬の静寂の後、怒号のような叫びがクラス中から沸き起こった。
「宵森 縁さんに、舞浜 明日迦さんですか・・・面白い方達ですね・・・」
放課後、司は学校中の監視カメラの確認と避難経路を確認がてら、学校中を散歩していた。
「監視システムの掌握は・・・この規模でしたらそんなにはかからないはず・・・そういえばこういうのはNo,13が得意でしたね・・・」
司は昔を思い出し、自嘲気味に微笑む・・・
「No,13が得意って何がかしら?」
突然の呼びかけに、司は飛びのきホルスターに手を掛ける。
「そんなに驚かなくてもいいじゃない・・・失礼しちゃうわ。」
そこには入学式で訓辞を述べていた生徒会長が立っていた。
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