第2話

高2の夏。

ただ素直に、三大欲求の一つを満たしたいだけだった。誰でもよかった。


土曜の午後に、と出会い系アプリで約束をとりつけた。

待ち合わせ場所の案内板の前に現れたのは、初めて会う3個上の女性だった。

写真と違うじゃないか、と思いもしたがそれよりも欲求が勝っていた。



ホテルに入ってシャワーを別々に浴びた。シャワーの後に化粧をしているその女をみて焦ったく思ったのを今でも思っている。



いつか、なぜ女は化粧してきて、シャワーを浴びた後にまた化粧をするのかと、他の女性に問うたことがある。その人は、君は今までぶすとしかやったことがないのね、と冷ややかに笑った。あの人は確かに綺麗だった。



結局そのあと、その女性と付き合うことになった。ただ意味もなく日が過ぎ、あるとき「弟にしか見えなくなった」といって振られた。それが初めての彼女で初めての相手だった。



それから、何人もの人に会った。

友人に話しても、お前やるなあとただ囃し立てるだけだった。自分を止めるブレーキなんてなかった。



気づくと、そのまま20歳になっていた。




大学にはいり、同じサークルの子に好意を抱いた。元彼のキープにされていたその子とは、付き合わない方がいいと周りの人間に言われた。

確かにとは思ったが、すでに抱いていた彼女に対する執着心はもう消えてはくれなかった。

宅飲みに誘い、そのままの勢いでやった。それから付き合った。



彼女のことは大切に思っていた。

ただひらすらに可愛いと。



でも叙々に、彼女の気持ちは自分から離れていった。自分でそれに気づいていた。



それでも、手放せなかった。

そんな中、結衣に出会った。



「初めまして。結衣っていいます。」

「婚活みたいだなこれ。」

2人をひき合わせた先輩がそう笑った。

「いや、俺彼女いるんで。」

そう言って苦笑したのを覚えている。



結衣曰く、このとき「外見タイプって思ったのに、彼女いるって言われて萎えた」らしい。



特別可愛いとは思わなかった。化粧が濃くて、服装も量産型女子大生とははずれたストリート系のもので、どこか浮いていると思った。



案の定、結衣は学科で浮いているらしかった。


だから、余計につけこみやすかった。



それから一ヶ月後、夜の緑道で初めてキスをした。嫌がることも拒むこともなく、彼女は意味深に笑った。こんど家においで、と言うと、困ったように、でもどこか嬉しそうに彼女は微笑んだ。




よくある話。

大学生の浮気なんて。



そう片付けてしまうから、俺はいつまでも変われない。


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