ほととぎす小暗き森の獄舎かな

【読み】

 ほととぎすをぐらきもりのごくしやかな


【季語】

 ほととぎす(夏)


【大意】

 うす暗い森にある獄舎にほととぎすの声が響きわたることである。


【附記】

 鳴きながら血を吐くというほととぎすから過酷な環境を連想した。ガ行が多めである。


【例歌】

 夏山の木末のしげにほととぎす鳴き響むなる声の遥けさ 大伴家持

 ほととぎす東雲しののめどきの乱声らんじやうに湖水は白き波たつらしも 与謝野晶子

 

【例句】

 ほととぎす何もなき野の門構 凡兆ぼんちょう

 鳥さしも竿や捨けんほととぎす 芭蕉

 ほととぎす消行方きえゆくかたや嶋一つ 同

 ほととぎす大竹藪をもる月夜 同

 杜鵑ほととぎすなく音や古きすずりばこ 同

 郭公ほととぎす声横たふや水の上 同

 鯉はねて水静也しづかなり郭公 言水ごんすい

 郭公なくや雲雀ひばりと十文字 去来きょらい

 あの声でとかげくらふかほととぎす 其角きかく

 ほととぎす耳すり払ふ峠かな 鬼貫おにつら

 郭公顔の出されぬ格子かな 野坡やば

 聞かぬとしあるも命ぞ蜀魂ほととぎす 也有やゆう

 ほととぎす待つや都のそらだのめ 蕪村

 あかつきの一言ぬしやほととぎす 召波しょうは

 蜀魂なくや矢をつく雨の中 青蘿せいら

 うす墨を流した空や時鳥ほととぎす 一茶

 時鳥辞世の一句なかりしや 正岡子規

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