ふところに懐炉しのばす花見かな

【読み】

 ふところにくわいろしのばすはなみかな


【季語】

 花見(春)


【大意】

 ふところに懐炉をしのばせつつ花見に行くのであった。


【附記】

 風流は寒いものだとどこかで聞いたように思う。今はそれほどでないものの、かつては春や夏に感じる寒さ、秋や冬の暑さを詠みたいものだと常々思っていた。蕉風俳諧は夏炉冬扇かろとうせんであるとも聞く(もっともこれは、実用に供するものではないとの意味の由)。


 懐炉は冬の季語。


【例句】

 みよし野は右往左往の花見かな 貞室ていしつ

 一僕とぼくぼくありく花見かな 季吟きぎん

 知人にあはじあはじと花見かな 去来きょらい

 夜ざくらや太閣様のさくら狩 園女そのめ

 半ば来て雨にぬれゐる花見哉 太祇たいぎ

 さくら狩美人の腹や減却す 蕪村

 重箱に鯛おしまげてはな見かな 成美せいび

 うつくしき手で銭をよむ花見かな 蒼虬そうきゅう

 年寄の腰や花見の迷子札 一茶

 叱られて酔のさめたる花見かな 正岡子規

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