花筏うかぶや月の舟もなし
【読み】
はないかだうかぶやつきのふねもなし
【季語】
花筏(春)
【語釈】
花筏――「1 ハナイカダ科の落葉低木(中略)2 水面に散った花びらが連なって流れているのを筏に見立てた語。また、筏に花の枝をそえてあるもの。筏に花の散りかかっているもの」(デジタル大辞泉)。ここでは2の意味。
月の舟――「大空を海にたとえ、空を渡る月を舟にたとえていう語。また、半ばの月。月の御舟(みふね)」(精選版 日本国語大辞典)。
【大意】
水面には桜の花びらがいかだのように連なってながれ、月の舟が渡るすきまもないのであった。
【附記】
花のいかだのゆかりで月の舟を思い浮かべた。春の夜の幻想的な風景である。万葉集所収の「
「花筏」に花の枝を添えた(花が散りかかった)いかだの意味があることは執筆時に知った。思うに、俳句においてその意味で用いることは稀か。「花筏」とはまことにこの国らしい言葉だと思う。それがよいことかわるいことかは知らず、ことさらに称揚するつもりはない。
「花筏」は植物名でも春の季語の由。ハナイカダ科ではなくミズキ科とする辞書が多いようである。「月の舟」は秋の季語。
【例歌】
【参考句】
苗代の水に散り浮く桜かな
水鳥の胸に分けゆく桜かな
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