春風や鼻を抜けたるわさびの香

 春風はるかぜはなけたるわさびの


【季語】

 春風(春)


【大意】

 春風とともにわさびの香りが鼻の穴を抜けてゆくのであった。


【補説】

 山野の味覚に春のおとずれを感じる趣向がむかしからあったように思う。「わさび」も春の季語(花は夏)のようだが、その植物の根茎をすりおろした香辛料は季語として用いないように見える。わさびは一年中収穫されている由。


【参考歌】

 石走いはばし垂水たるみの上の早蕨さわらびの萌え出づる春になりにけるかも 志貴皇子しきのみこ


【参考句】

 おもしろうてわさびにむせなみだかな 召波しょうは

 沖津鯛冬の山葵わさびもただならね 几董きとう


 にがにがしいつまで嵐ふきの塔 宗鑑そうかん

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