一本の紅梅植ふる土塀かな

 一本ひともと紅梅こうばいふる土塀どべいかな


【季語】

 紅梅(春)


【大意】

 土塀のそばに紅梅が一本植えられているのであった。


【補説】

 土塀の白い壁に紅梅の色が移ってゆくような光景を思い描いた。


「植ふる」は時代がくだるほど「植へし」になる確率が上がりそうに思う。前者は動作をいう語であって後者のようにするのは必ずしも謂われのないことではないように思う。


 紅梅は白梅に遅れてこの国に入ってきたようで、「梅」というと通常は白梅のことを言った由。花の時期も紅梅のほうが遅く両者は区別することが多いらしい。


【参考句】

 紅梅こうばいやかの銀公がからごろも 貞徳ていとく

 紅梅の落花燃ゆらむ馬の糞 蕪村

 紅梅や古き都の土の色 同

 紅梅に牛の涙も氷るらん 正岡子規

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