のどかさに猫も鳴かざる昼間かな

 のどかさにねこかざる昼間ひるまかな


【季語】

 のどかさ(春)


【大意】

 のどかさに猫も鳴かない昼間だなあ。


【補説】

 猫の鳴かないことに却ってのどかな趣があるかと考えた。


 推敲前、「のどかさや猫さへ鳴かぬ昼さがり」。


【参考句】

 のどけしや港の昼の生肴なまざかな 荷兮かけい

 うぐひすや降ルも長閑のどけき日照り雨 沾圃せんぽ

 長閑さや早き月日を忘れたる 太祇たいぎ

 長閑さに無沙汰の神社廻りけり 同

 長閑さに落もさだめぬおち葉かな 几董きとう

 長閑さや浅間のけぶり昼の月 一茶

 長閑さや鼠のなめる角田川 同

 長閑さや柳の下の洗ひ臼 井月せいげつ

 雪松ののどかな影や雪の上 村上鬼城

 人形も馬もうごかぬ長閑さよ 夏目漱石

 久方の光長閑し鏡研かがみとぎ 幸田露伴

 のどかさに耳なし山も笑ひけり 正岡子規

 亀は歩み兎は眠る長閑かな 尾崎紅葉

 蝸牛ででむしの角がなければ長閑哉 寺田寅彦

 蝸牛は角があつても長閑哉 同

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