年寄れば奇跡もまたず年の暮

 としれば奇跡きせきもまたずとしくれ


【季語】

 年の暮(冬)


【大意】

 こう年を取るともはや奇跡をまつこともなく、年が暮れるにまかせるのであった。


【補説】

 老いの悲しみ。


 を二度用いたのはやや稚拙か。


【参考歌】

 もののふのやそうぢ川を行水のながれてはやき年の暮かな 源実朝


【参考句】

 としくれて人ものくれぬこよひかな 宗鑑そうかん

 餅の後更に花なしとしの暮 惟中いちゅう

 旧里ふるさとや臍の緒に泣としの暮 芭蕉 

 油うるこゑきこゆなり年の暮 句空くくう

 年浪のくぐりて行や足の下 去来きょらい

 鳩部屋の夕日しづけし年の暮 其角きかく

 年の瀬や比目ひらめ呑鵜の物思ひ 同

 雪隠の燈に静也年のくれ 素覧そらん

 眼に残る親の若さよ年の暮 太祇たいぎ

 近江路や軒端によする年の波 蕪村

 白雪のつもる思ひに年くれぬ 樗良ちょら

 米くるる友どち持ちて年の暮 蝶夢ちょうむ

 田鶴たづの音にとしどし暮れぬ和歌の浦 月居げっきょ

 鮟鱇も河豚ふぐも喰ふなり年の暮 寺田寅彦

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る