むかし誰棲みにし家ぞしのぶ草

 むかしたれみにしいえぞしのぶぐさ


【季語】

 しのぶ草(夏)


【語釈】

 しのぶ草――シノブ。「シノブ科の多年生のシダ。山中の岩や樹木に着生」(デジタル大辞泉)。


【大意】

 目の前にあるこの家はむかし誰が住んでいたのであろうか。むかしをしのぶというように辺りにシノブが生い茂っていることである。


【補説】

 かつての住まいを訪れたときのことを思い出して作った。


 同じような趣旨の和歌がすでにあるらしいものの、歌より句が私の趣味に合うようである。


【参考歌】

 百敷ももしきやふるき軒端のきばのしのぶにもなほあまりある昔なりけり 順徳院


【参考句】

 橋桁はしげたのしのぶは月の余波なごりかな 芭蕉

 ありわびて京へいでしなしのぶうり 巣兆そうちょう

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