紫陽花やいづれはあれど黒き傘

 紫陽花あぢさゐやいづれはあれどくろかさ


【季語】

 紫陽花(夏)――『花火草はなひぐさ』(1636年刊)に所出の由。


【語釈】

「いづれはあれど」は、良いものはいろいろあるが、といったところ。


【大意】

 世の中にはさまざまな傘があってそれぞれに魅力があるが、紫陽花の中にあっては黒い傘がことに良く思われるなあ。


【補説】

 紫陽花はやはり闇に映えるだろうと思い。


【参考句】

 あぢさゐを五器に盛らばや草枕 嵐雪らんせつ

 あぢさゐや仕舞のつかぬ昼の酒 乙二おつに

 俳諧はいかいの紫陽花をしれ七変化 凉菟りょうと

 あぢさゐに喪屋もやの灯うつるなり 暁台きょうたい

 花二つ紫陽花青き月夜かな 泉鏡花

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