夏めくや海の香を吐く蜆汁

 なつめくやうみ蜆汁しゞみじる


【季語】

 夏めく(夏)


【語釈】

「蜆汁」は春の季語。


【大意】

 夏めいて、海の香りを吐き出す蜆汁だなあ。


【補説】

 夏といえば海ということで。「蜃気楼」の語が、みずち(大蛤)が気を吐いて楼閣を描くと考えられたことによる名称であることを念頭に置き、蜆汁の具であるところの蜆が海の香りを吐くといった。


【参考句】

 むき蜆石山の桜ちりにけり 蕪村

 からし菜のたう立つ頃や蜆汁 正岡子規

 日當ひあたりや手桶の蜆舌を吐く 寺田寅彦

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