腹黒き女過るや花薔薇

 腹黒はらぐろをみなよぎるや花薔薇はなさうび


〔季語〕

 さうび(夏)


〔語釈〕

「さうび」は、バラ。


〔大意〕

 バラの花のかたわらを腹黒い女がよぎるのであった。


〔補説〕

 バラの花を腹黒い女性にたとえている。特に真っ赤な花を想定している。黒バラだとすこし引き立たないかもしれない。


 美しいバラにはとげがあるということわざがあるかと思うので、やはり美しい人と考えるのが自然かもしれない。


〔参考歌〕

 薔薇咲くしろくはた黄にうす紅に刑の重きは墨色に咲く 与謝野晶子

 午過ぎてますます紅き薔薇の花ますます重く傾きゆくも 北原白秋

 大きなる何事もなき薔薇の花ふとのはずみにくづれけるかも 同

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