物言はで去りゆく人や春の雨
〔季語〕
春の雨(春)
〔語釈〕
「物言はで」は、物を言わずに。
「春の雨」は、『
〔大意〕
何も言わずにあの人は去ってゆき、後には春の雨が降るばかりである。
〔解説〕
春は出会いと別れの季節らしい。らしいというのはさほどの実感がないからである。去りゆく人が詠み手とどのような関係にあるのかはやはり読み手の想像にまかせたい。このような句はこれまでにいくらも作られたものと想像するがともあれ。
語釈で触れたように、「春雨」と「春の雨」は別物とされることもあるらしい。私としては「春の雨」を単に春に降る雨という意味で使いたいと思うがいかがだろうか。
〔参考句〕
春雨や蜂の巣つたふ屋根の漏り 芭蕉
春雨の木下につたふ清水かな 同
春雨の底をさがすや声の糸
おもふ事降くらしたり春の雨
春雨の中を流るゝ大河かな 蕪村
春雨やものがたりゆく
春雨や松に鶴なく和かの浦
春雨や鼠のなめる
鳩の恋烏の恋や春の雨 同
膳先に雀なく
春雨や喰れ残りの鴨が鳴く 同
春雨や心のまゝのひじ枕
春雨や柳の中を濡れて行く 夏目漱石
新らしき蒲団に聴くや春の雨 村上鬼城
物言はで腹ふくれたる
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