大雪や仏の大慈隠るほど

 大雪おほゆきほとけ大慈だいひかくるほど


〔季語〕

 大雪(冬)


〔語釈〕

「大悲」は衆生の苦しみを救う仏・菩薩の大きな慈悲。

かくる」は隠れる。上代語(6世紀末から奈良時代までの言語)の由。


〔大意〕

 仏の大いなる慈悲の心が世に隠れてしまうほどの大雪だなあ。


〔解説〕

 大雪が降って地蔵が隠れてしまい、それがために仏の慈悲の心が世に現われなくなるばかりだという趣旨。たわいのない軽口か、或いは。地蔵は菩薩であって仏ではない気がするが仏教徒の信仰の対象であるから近しいものかと思った。


「笠地蔵」の影響があるかと思う。


 なお、「大雪たいせつ」は二十四節気のひとつで陽暦十二月七日ころにあたる由。


〔参考句〕

 春雨や小磯の小貝ぬるゝほど 蕪村

 しら露やさつ男の胸毛ぬるゝほど 同

 大雪や印の竿を鳴く烏 一茶

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