根雪して隣の池の青きこと

 根雪ねゆきしてとなりいけあをきこと


〔季語〕

 根雪(冬)


〔語釈〕

「根雪」は、降り積もった雪がとけ残り、以後の積雪の下積みとなるもの。


〔大意〕

 根雪が張って、隣の池のつくづく青いこと。


〔解説〕

 聞くところによると、北国の湖や池はやはりきれいなものらしい。この句の背景にはもちろん「隣の芝は青い」ということわざがあり、そのことわざをもじってそのような池の近所に住んでいる北国の人をうらやむ気持ちをいった。「こと」でめて余韻を残すことに努めた。「根雪」は北国であることを印象付けるためのいわば装置である。上五かみごを「根雪せる」(根雪が張っている)とする考えもあったが、説明的になるだろうということで却下した。それにつけても、根雪が始まるころには池の水もおおかた凍ってしまって、青いどころの騒ぎではなくなっているのだろうか。


〔参考句〕

 若竹や竹より出でて青き事 北枝

 若艸わかくさや藍よりいでて青二才 蕪村

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