逝春や岸を離るゝ鴨の声

 逝春ゆくはるきしはなるゝかもこゑ


〔季語〕

 逝春(春)


〔語釈〕

「鴨」は冬の季語。


〔大意〕

 過ぎ去ってゆく春の、岸を離れてゆく鴨の声だなあ。


〔解説〕

 鴨が岸を離れてゆく光景に春の去ってゆくイメージを重ね合わせた。下五しもごをどうするか悩み、「夏の鴨」などとする案もあった。「夏の鴨」は、カルガモのことで夏の季語。春が終わると思えば、鴨(私はマガモを想定して作った)の声も感慨深く聞こえるかもしれない。


〔参考句〕

 涼しさや鐘をはなるるかねの声 蕪村

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