第8話 あれから
あれから舞音はすぐに胡弓の屋敷から飛び出し自宅に逃げ込んだ。
舞音からすべてを聞いた両親は三人で交番に行き被害届を出した。
これですぐに胡弓は逮捕されるだろうと思った。
しかし。
「夜逃げ!?」
「あぁ。舞音ちゃんと奥さんに見られているからどちらかに通報される前に逃げたのだろう。屋敷はもぬけの殻になっていたそうだ」
舞音は父の言葉を落ち着いて聞いていたが心の中ではショックと驚きでいっぱいだった。
自分はこんな師匠に憧れ、恋していたのかと思うと情けなくなった。
そして舞音は父から胡弓について聞かされた。
「胡弓君はここで演奏し始めた頃に結婚したんだよ。その後に子供も生まれた。舞音ちゃんも知っていると思っていたんだ」
「舞音ちゃんを屋敷への修業を許可したのも「今も仲良く一緒に暮らしていますよ」って言っていたからなの。まさかウソだったなんて」
「そうだったのですか……」
まさか自分だけではなく大好きな両親も欺いていたとは。
すでに信用していないが舞音はますます胡弓を信用できなくなった。
「舞音ちゃん、ごめんさい。私達はあの人を信用しすぎていたわ」
「……いいのです。私も騙された身ですから」
舞音は俯いた母親をなだめた。
「しかしあの男は非常識だ!」
舞音の父親が強い口調で胡弓を非難した。
「舞音ちゃんを愛弟子だからといって愛人にするとは!」
「ほんとよ! 結婚していることを知らないのをいいことに!」
「全くです!」
父母と続き、舞音も言い捨てた。
しかし一つ気になることがあった。
「そういえばどうして愛人である舞音ちゃんに暴力を振ったりしたんだ?」
舞音は暴力を振るわれたことを
「それは奥様からお聞きしました」
舞音は胡弓の妻から聞かされたことを話し始めた。
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