第四話 城下町の日常
テーブルと椅子が一瞬で用意される。
「食事は、もっと楽しくやろうぜ」
「食べなくてもいいのよ、別に」
赤い雲の下、おれとイーは昼食を食べていた。
食事は気付いたら並んでいた。
「美味い。毎日作ってくれよ」
「もう。レシピどおりだから、自分で作れば?」
食堂の料理はレシピどおりじゃないのか?
褒められてちょっと嬉しそうにしている、白い服の少女。珍しい表情だ。
食後の雑談。
色々話して時間が
水の勢いで汚れを取って瞬間移動で次の水を、の繰り返し。
高度すぎてよく分からない。楽しそうだからいいか。
「暑っ。城下町の見回りしてくる」
「ふーん」
言葉はそっけないが、手を振っている少女。
おれは気合いを入れて塔の
「やはり、あれは
「そのようですね」
「
「我らの
「私の弟子が上手くやってくれることに期待しましょう」
「ほかにも手は打っておくべきだな」
「なるほどね。次の手は……」
上からの声が遠くなる。塔の入り口を開けてもらって、普段着のおれは南へ向かった。
城を
城のように一つの岩をくり抜いた建物はない。木造の民家が並ぶ。
たくさんの木がなかったらと思うと恐ろしい。
植えられたものより、元々生えている木のほうが多い。
「今日は遅いね、兄ちゃん」
少女に話しかけられた。イーより年下で、名前はクルホ。
「ああ、やっぱり動くなら朝だよな。
「そうだね、朝にね」
逃げられたか。まあ、子供は遊ばないと。しかし平和だ。
「フられちゃった?」
知らない女性に声をかけられた。馴れ馴れしいな。人のことは言えないが。
「ああ、やっぱり
「へぇ。ここで何してるの?」
それはこっちのセリフだ。歳はたぶんおれより上。
というか、なぜ
「町の平和を守っている。さっきのは、仲間ってことにしておく」
「変な人」
「よく言われる」
「
腰の棒を見つめる、長い髪の女性。間違ってはいないから肯定しよう。
「ああ。弓も練習してるけど、そっちはまだまだってとこだな」
「立ち話も疲れるでしょ。あたしの家に来ない?」
「まだ名前も聞いてないぞ」
立っているから疲れたわけじゃなくて、イーとの特訓で疲れたとは言えない。
「そうだったね。あたしは、ピスチャ」
「おれは……モー。最近はそう呼ばれている」
本名を言わないほうがいい気がする。この女性はどうも怪しい。
「やっぱり、変な人」
「だよな」
「平和だね」
「でかい鳥のモンスターが倒されてから、静かになったな」
「それで、
「そうそう。おれが弓で倒したかったぜ。あいつならきっと一瞬だな」
「弓の凄い人?」
「いや、
笑顔を
見回りだと理由をつけて、おれはその場を後にした。
次の日。早朝の城下町。
こういうときに限って、何か
「どうした? 道の真ん中に集まって」
「
「盗まれたのは、たいしたものじゃないらしいけど」
「範囲が広いから怖いねって話さ」
被害のあった場所を地図に記してもらった。
確かに範囲が広い。別の場所で話を聞いているうちに、日差しが強くなってきた。
もういいだろう。おれは塔に向かうぞ!
考えるのは
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