第三話 恐れを断つ剣
朝っぱらから暑い。
今日もおれは北の塔へ向かう。入り口を
さっさと上に行きたいのに
「よう、
高所から周りを見渡せる庭園。珍しい植物を
中にいる少女を外界から守っていた。
ベッドとバス、トイレがある。最初になぜ気付かなかったのだろうか。
「また事件? あなた本当に
「暇だから来たぞ。入れてくれ」
「嫌よ」
「おれがそっちに行ったほうが都合いいだろ?」
言い終わらないうちに、白い服の少女は
二人だけの
「危ないから
「外に出ると、雑音が、あれだろ? 無理するなよ」
「この程度の
相変わらず
「運動の成果を確かめるぞ。筋肉見せろ」
「は?」
この表情は、驚きか。笑顔にならないな。もうひと押しってところか。
「
「
おれは片膝をつき、
「どうぞ、
「わたくしでよければ、お相手いたしますわ」
白い服の少女は、不敵な笑みを浮かべていた。狙っていた顔とはちょっと違ったな。
空には赤い雲。大地は黒い。
背の高い
二人を見る者はない。ここは世界の果てか?
「ヴァトカインから千ポロンクセマってところよ」
王国から一瞬で二人同時に瞬間移動。全く疲れた様子がないな。
「さすがだな、イー。それはそうと寒くないか?」
徒歩なら半年以上はかかる距離だ。しかし、なんでこんな遠くまで。
「
「世界は広いな」
「通称、
「おれ普段着で棒しか持ってないぞ。
「
「野望を阻止するため。モンスターを率いて世に混乱を……だっけ?」
おかしい。適当に答えたのに少女に呆れられていない。無表情だ。
「自分で見ないで、誰かの言ったことを信じるの?」
イーは見ている。つまり、本当は違う。
「
「二人で花火を飛ばしたこともあったわ。空の向こうのね」
よく分からないが、イーと一緒にいれば安全だということは分かった。
遠くに
決闘ではない。おれは
「
それを一瞬で行えることを自慢しない、白い服の少女。
「よく見ろ、ってことか」
「それだけ筋肉があれば、見てからでも対処できるでしょう」
「
「もう。
言葉のあとにイーの姿が消え、すこし離れた場所に現れた。
「いくぞ!」
おれは腰の棒を手に構えた。
相手を見ながらゆっくりと近付く。絶対に
集中は分からないが、
さらに近付く。狙い、
軽い動きで
「ちゃんと当ててよ」
寸止めされた棒。おれは当てるつもりだったはず。なんで止めた、おれ。
「どこの世界に
「
「それでも、丸腰の相手を、だな……」
イーの手に、おれのものとは違うもう一本の棒が握られた。
「はい。これでいいわね。少し
瞬間移動したイーがすぐに
なんでこんなにやる気なのか、さっぱり分からない。
おれが攻撃できなかった理由も分からなかった。
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