あの人の思考回路
翼秋景
本庄桃太という男
今日から俺は二年生になる。
「高校生」に理想を抱いてこの道を通った一年前、俺は輝く高校生活を思い浮かべていた。一緒にふざける友達、面白い先生、楽しい毎日と少しの刺激。好きな子ができて告白して、付き合えなくっても甘酸っぱい経験。そういうものが待っていると思っていた。
しかし現実は平凡だ。ふざけるほどじゃないけど友達はできたが先生はいたって普通。勉強に追われる日々に刺激なんてない。なにより、一年間女子と会話することなんてほとんどなかった。
楽しそうなのは一部の生徒。俺が思い描いた日々を送れるのは選ばれた人間だけだと思い知った。
俺は選ばれた人間ではなかったのだ。
それでも悪い生活ではない。それはわかっている。だからこそ日常を打ち壊す勇気もなく、この焦燥感から抜け出せないでいた。
今日から俺は二年生になる。どうせ今年も生産性のない、時間を消費するだけの一年になるのだろう。
あの人の思考回路 翼秋景 @tsubasa401
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