第3話悲劇

やはり何かおかしいと思い、信は黒フードの後を追った。


バスケ部の部長である信であったが、黒フードは信とほぼ同じ速さで逃げている。


昨日の夕方を見た時は黒フードはおじさんに見えたはずなのに信とほぼ同じ早さというのも不思議であるが、何より不思議なのは逃げてるように見える割にはどこも曲がらず真っ直ぐ進んでいる。


その事には気にせず、追いかける信であったが、数百メートルも走ったため、さすがに息が切れてしまった。

「はぁ、はぁ、はぁ…」


息が整い前を見ると、なんとそこには黒フードがまだ立っていたのであった。


「これはやっぱり何かあるはず」と思い、もう一度追いかけた。


黒フードはまだ立ち止まったままである。全速力で追いついて、黒フードの肩を叩いた。すると、黒フードが振り向き、顔を見せた。



とそっくりだった。



自分とそっくりな顔が黒フードだったなんて思いもしなかった信は腰を抜かした。


「お、俺がもう1人……?」

「どうなってんだこりゃ……」


怖くなった信はどうにか逃げようと後ずさりしていたが、腰が抜けてほとんど動けない。


黒フードは右ポケットから拳銃を取り出し、リボルバーに弾を一つだけセットした。


そして……乾いた銃声の音だけが鳴り響いた。


その弾は信を確実に仕留めるかのように左胸に正確に貫通していた。


信は何も言えずに死んでいった。

ただ、信は微かな黒フードの声を聞き逃さなかった。


「罪深い……」と





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