春夏秋冬、そして春

4月になった。俺はもう高校3年生だ。麻衣は大学受験に失敗し、浪人することになった。そして近所のコンビニでバイトをしている。


麻衣は週4回、基本平日の日中にシフトを入れているため、俺がそのコンビニで麻衣に会うことはない。たまに土日にもシフトを入れているようだが、土日も部活が忙しいので結局会うことはなかった。


結局、俺が部活を終え家に帰る夜8時すぎには麻衣は夕食を食べ終え、風呂に入っているか受験勉強をしているのだ。




そして4月24日、俺は18歳となり結婚できる年齢になったが、すぐ麻衣と結婚することには至らなかった。大阪にいる麻衣の両親から、結婚は大学卒業まで待ってほしいと言われたからだ。



◇ ◇ ◇




そして夏に入った。俺は3番打者、投手兼遊撃手、背番号6の主将として夏の甲子園の東東京予選に挑む。そして俺はプロのスカウトから色々話が来ていた。メンバーはこんな感じだ。




青教学院高等部


部長 茅野正雄かやのまさお

副部長岩崎修一いわさきしゅういち岡部春佳おかべはるか

監督 日笠直人ひかさなおと


1 投 田所正俊たどころまさとし 左左 3年

2 捕 森内尚敏もりうちなおとし 右右 3年

3 一 中山稔彦なかやまなるひこ 右右 3年

4 二 西貴仁にしたかひと 右左 3年

5 三 青木修あおきしゅう 右右 3年

6 遊 相川優あいかわゆう 右右 3年 主将

7 左 矢野雄介やのゆうすけ 右左 2年

8 中 久保光弘くぼみつひろ 左左 2年

9 右 和田伸一わだしんいち 左左 2年

10 投 北川大輔きたがわだいすけ 右右 3年

11 投 竹中啓一たけなかけいいち 左左 2年

12 捕 岩田大樹いわただいき 右右 3年

13 内 小林伸晃こばやしのぶてる 右両 2年

14 外 前田隆司まえだたかし 右左 3年

15 外 酒井雄馬さかいゆうま 左左 3年

16 外 石井直樹いしいなおき 左左 3年

17 投 桜井正之さくらいまさゆき 右右 2年

18 投 森永孝弘もりながたかひろ 右右 2年

19 捕 吉村武俊よしむらたけとし 右右 2年

20 内 大竹康仁おおたけやすひと 右右 2年


記録員 山岡健太郎やまおかけんたろう(3年)




1回戦は15-0の5回コールド勝ち。先発は俺で5回を完投し、本塁打を2本放った。2回戦も7-0の7回コールド勝ち。俺は4打数3安打3打点。投手陣も中山が5回、竹中が2回を無失点に抑えた。


3回戦は甲子園出場経験のある強豪であったが、5-2で勝利した。俺は7回に勝ち越しとなる3ラン本塁打を放った。投手陣は北川が2失点の完投。そして4回戦は、プロ注目の好投手2人を要する強豪だった。試合は2-1でサヨナラ勝ち。俺はこの試合で完投し、初回に先制を許したものの、7回に同点となる本塁打とサヨナラタイムリーを放った。


そして5回戦。相手はシード校でこの春も甲子園に出場した強豪だった。そして試合は2-5で敗れ、俺の高校野球は終わった。俺は4打数1安打。7回にはこの日唯一の安打となる2ラン本塁打を放ったが、先発投手の田所が6回3失点、その後に登板した中山が3回2失点という内容だった。




試合後の記念撮影後、麻衣から「1回戦からずっと青教のスタンドで見てたけど、残念やったなぁ。とりあえずお疲れ」と言われた。1回戦から麻衣が試合を見ていたことには全然気づかなかった。試合に集中していたせいかな。つーか試合見に行ってたのなら言えよ。そして今日の試合では、沙織さんと明日香さんが観戦していたという。そして帰りのバスでTwitterを見ると、「神宮球場、青教のスタンドにツバキガールズのメンバーがいる」という内容のツイートがあった。




◇ ◇ ◇




そして秋になった。俺は付属の大学に進学し、野球も続けるため引き続き部活の練習に参加していた。そして麻衣も受験勉強を続けていた。8月からは予備校に通い、バイトの時間も減らしたという。そして、この間の模試では青教学院大学への合格率が70%という判定が出たらしい。




そして冬、俺は大学の野球部の練習に参加した。東東京大会ベスト8が最高成績だった高校の野球部とは違い、大学の野球部は全国優勝の経験を持ち、数多くのプロ野球選手を輩出した名門だ。そして入部予定の選手には甲子園に出場した選手もいる。俺は高校通算40本塁打という実績と、投手としても140km/h台をマークした強肩を売りに内野手として入部したが、同じような実力の選手がゴロゴロいた。


その間、麻衣は年末年始返上で猛勉強に励んでいた。そしてセンター入試後、入試直前の模試では青教学院大学への合格率が90%という判定が出たらしい。


そして麻衣はそのまま青教学院大学に合格し、俺も青教学院大学に進学する。俺は経済学部で、麻衣は文学部。学部は違うけど、キャンパスは一緒みたいなのでそこは安心した。


高校の卒業式では、卒業生代表として挨拶をした。そして式が終わると野球部の所へ出向き、監督から卒業する部員一人一人へ色紙が手渡され、後輩からは胴上げをされた。




◇ ◇ ◇




そして4月、俺と麻衣は大学進学を機に同棲を始めた。野球部には寮はあるが、全寮制ではなく、実家通学が可能な部員は寮に住まなくていいらしい。まさしく俺はそれだった。実家から大学のグラウンドまで電車で40分くらいだ。そしてキャンパスまで同じく電車で10分少々。しかし、俺は実家から通うことはなく、キャンパスとグラウンドのほぼ中間地点に麻衣と同棲するためのアパートを借りたのであった。


俺と麻衣は大学に進学するにあたって、あることを決めた。まずは昼の学食はできる限り一緒に取ること。そして朝食は2人で一緒に作り、夕食は先に帰った方が作ること。俺と麻衣は食事に関して、以上の3つを決めたのであった。俺は野球部で忙しいし、麻衣も大学に入ってから色々バイトをしてるので忙しい。結局2人とも家に帰るのが夜遅くになる。


そして、ワンルームのアパートを借りたのでトイレと風呂は隣同士だ。それに、部屋も2人分の荷物があるためかなり狭い。しかし、2人で一緒に寝れることを考えたらとても幸せなことだ・・・って思った。

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