麻衣
それから一週間後、俺は麻衣さんを呼び出した。場所は都内のある公園。人気が少なくて何とかなりそうだ。そして、幸いこの日は部活は休みで麻衣さんも仕事がない。
「優、大切な話って何なん?」
と麻衣さんは俺に言う。そして俺は、
「僕、麻衣さんのことが好きです」
そう俺は言い、麻衣さんはこう言う。
「えっ?優、ちょっと待って・・・この好きって意味、アイドルとしてだよね?」
そして麻衣さんの言うことに俺は、
「違います。女性として麻衣さんが好きなんです。最初はアイドルとして好きだったし、総選挙も麻衣さんに入れたんですけど、総選挙の後から急に麻衣さんを意識し始めて・・・気がついたら麻衣さんが恋愛対象になっていました。だから僕と付き合ってください」
うん、これでいいんだ・・・そして麻衣さんは、
「ありがとう・・・私も優のことが好き。一度フラれたけど、やっぱり諦められへんかった。ありがとう、私を選んでくれて。こちらこそよろしくお願いします」
と言ってくれた。告白は成功だった。そして、
「でも優あんた、前、麻衣さんはアイドルでしかもツバキガールズのリーダーだから付き合えない言うたよな?それに5歳も離れてるから付き合えない言うてたし。それ撤回してくれるんか?もし付き合ってるのバレたらどう責任取るん?」
と麻衣さんは言った。そして俺は、
「やっぱそれ撤回します。恋愛に年の差は関係ないですからね。でも、バレたらどうしましょう・・・僕は口堅いから大丈夫だと思いますけど」
と言った。そして麻衣さんは、
「じゃあ、恋人なんやから敬語やめて。麻衣って呼んで」
と言った。そして俺は、
「麻衣、これからずっと一緒だよ」
と言い、麻衣と深いキスを会わした。
◇ ◇ ◇
それから数日後、麻衣は自身のブログでツバキガールズ卒業を発表した。芸能界からも引退するという。ツバキガールズのリーダーが突然卒業と芸能界引退するを発表したことにより、テレビはしばらく麻衣の話ばかりだった。そして新しいツバキガールズのリーダーには満場一致で沙織さんが選ばれた。
俺は卒業発表の翌日、麻衣に電話をかけ、「なんで俺と付き合い始めた途端に卒業するんだよ。それどころか芸能界も引退するし」と言った。すると麻衣は、
「うちのグループは彼氏が公にバレたら強制卒業というルールがあるんよ。まだ誰もそのルールに引っ掛かって辞めたメンバーはおらんけど。だから彼氏いるのバレる前に自分から辞めた方がええと思たんよ。それに卒業しても芸能界にいたままじゃ意味ないし」
と麻衣はグループからの卒業と芸能界引退について言った。
そして1ヶ月後、麻衣にとってツバキガールズ最後のイベントである握手会があった。麻衣はこの握手会が終わると9月いっぱいでツバキガールズを卒業し、芸能界も引退する。
握手会は大盛況であった。俺はブース裏で見るだけだったが、ファンからは「辞めないで!」や、「引退なんてもったいないよ!」などの言葉があった。そして麻衣も「こちらこそありがとう!私を見たら声かけてな~」と言っていた。
そして10月になり、麻衣は正式にツバキガールズを卒業し、芸能界も引退した。そして麻衣はマンションを引き払い、俺の家に引っ越した。両親も優衣姉も優里も何も言ってこなかった。
麻衣は引っ越した途端、来年度からの入学を目標に大学受験の勉強を始めた。もしそうなるのなら、麻衣は俺より1年早く大学に進学することになるが麻衣は、
「うち、優と同じ大学に行きたいからもう1年かかるかもしれんわ。あんた結構難しい大学の付属通ってるんやな」
と言っていた。そして、
「優、半年後18になるんやろ?そん時結婚しよか?うちも23になるし。お互い4月生まれやから数えるの楽やわ」
とまで言ってきたのだ。俺は、
「学生結婚なんてとても・・・籍入れるのは大学卒業後でいいよ」
と言った。そして、
「はぁ・・・うち、いつまで大久保麻衣って名前なんやろなぁ・・・」
と麻衣は一言呟いた。
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