第五章

第1話 時守の神殿を求めて

 王国の肌人種達、帝国のドワーフ達、数多の獣人種、外から攫われた半エルフが広場に集まっている。ブブキとコロモスの前に立つ。皆を大森林の外へ誘導する案内役を請け負った二人とは今日でお別れだ。


「ブブキ、コロモス、連中の道案内を頼む」


「頼まれたぞい。ついでに、外界を見学してくるぞい」


 ブブキはこちらと目を合わせることはねえ。部族の長老を殴り、精霊を敬わない俺は黒エルフ達からすっかりと嫌われている。精霊との契約を断った、不細工なゴンも余り良い感じに思われていねえようだ。

 黒エルフも、灰エルフもどこか根っこの所で白エルフと変わらない考えを持っているのかも知れねえ。――精霊が言う白蟻の亜人、ミルミプロの亡霊が純血のエルフ達の前に、あえて姿を現さねえ原因とはこのことかもしれねえな。


 樹人種達は今後、水の精霊の神殿周りに集落を作ると言う。精霊も許可を出している。神殿の守護者としての役目を担って貰いたいと労っていた。

 森守を自称するエルフ達はどことなく納得をしていねえようだが、精霊様の言い分に口を出すことねえ。なんだか、新たな火種が生まれた気もするが、俺達が口を出すことではねえだろう。




 水の精霊から『時守の精霊』が封印されたことを告げられてから今日まで、二週間程度が経過している。精霊は、古い大樹を伐り加工して、カヌーで排水路を進めと助言してくれた。その為の樹もわざわざ選んでくれた。


 つれないゴンの気を少しでもひこうと必死だ。


 樹を切ることに、エルフ達は反対の様だったが口には出さねえ。しかし、カヌー作りを手伝うことは一切しなかった。代わりに、捕らわれた連中や、攫われた半エルフ達が交代で手を貸してくれた。

 ワリスとクラテルは、オロエマの樹を帰国するドワーフ達に託し、あくまで俺達と同行することにしたようだ。ラティオ達も最後まで付き合うと言う。


『面白そうだ』


 皆、他人事のようにそう言って笑った。まあ、実際、他人事だからな。


 アンも一緒に行くと言って聞かない。二人の顔人族も連れて行くことになった。外の世界に暮らせる場所を探したいと言うことだ。

 精霊が「耳人種顔人族」と唱えたことに対して、耳人種であるエルフ達は無言乍らも認めたくはないようだ。耳がないのに耳人種とは言えねえと思うのは俺も同じだが、考えていることは多分違う。

 そんな、悪い雰囲気が顔人族を少し怯えさせているのは事実だ。当面はエルフの集落で面倒を見るようだが、将来的には判らねえ。アンは特に仲のよい二人の顔人を代表して連れて行き、今回の旅で住める場所の当てを探すと言う。小さい娘なのにしっかりしていやがる。これも、精霊と契約をしたせいなのかも知れねえ。


 できれば、アンはウム婆さんの元に帰って貰いたかった。素直な娘だと思ったが、この事に関しては頑として聞かねえ。意外に頑固だ。仕方がねえから、救い出した証拠として皆がそろった写真を撮り、王国に帰る連中に渡しておいた。ついでに時守の神殿に向かうことについても言伝を頼んだ。交易都市の連中は呆れること間違いがねえだろう。


 ブブキとコロモスが先導をするために場を去った後、集まった連中のなかから、一人の半エルフの女がこちらに歩み寄って来た。俺達に向かって深々と頭を下げる。


「今更ですが、救い出してくれたこと大変感謝をしています。エルフ達が貴方方をどう思っていても私達は貴方達に助けられたことを忘れはしません。……外で生まれた私達、半エルフはこの森に居たくはありません。白エルフがいた森にはです。他のエルフもあまり好きになれません。どこかで、私達を違う者を見る目で見ています。口ではどう言ってもやはり純粋なエルフなのでしょう」


「礼は受け取る。最後の事は聞かなかったことにする。被害者であるアンタ達に言うのは筋が違うかもしれねえが、憎しみは憎しみを産むだけだ。連鎖を断ち切るには、どこかで諦める必要もある。難しいことだがな」


「心に留めておきます。私達は、白エルフの様にはなりたくありませんから」


 そう言って、再び頭を深く下げてから皆の元に戻っていく。他の連中も一斉に頭を下げた。俺もゴンも余り慣れていないことだから、どうしていいのかが判らねえ。だから、別れの声だけは大きい声で伝えておいた。


「達者でな! 無事に戻れ!」


 ゴンは大きく手を振っている。ジェスチャーは国や地域により違うから意味が通じねえかも知れねえが、心はきっと通じるだろう。

 ただ、今後の事を考えるとまた会おうと言う言葉は、迂闊に口から出すことが出来ねえことだった。

 俺達も、作り上げた二艘のカヌーを担ぎ地上から排水路の合流地点へと向かう。先日、目星をつけた位置で精霊が大穴を空けた。白エルフが奈落と言い、欺瞞情報を流していた処は、本当に先が知れねえ地下の大水脈だと言う。


 今日から、又、新たな冒険の旅が始まるのかと思うと、不謹慎だが心が躍る気分だ。




「ああ、あそこに、おお、大きな蛙」


「アン、船を近づける様に水流を操作してくれ」


 ゴンのヘッドライトに照らされた先にはデカイ蛙の姿が見える。光に照らされて一瞬、吃驚したようだがこちらが近付いても逃げはしねえ。逆に、こっちを襲おうと待ち構えているかのようだ。体長は百センチ程度。大物だろう。

 カヌーの船首付近でゴンが待ち構える。俺は短刀を構えてその後ろに控える。大蛙がでかい口を開けて、ゴンに向けて舌を伸ばしてきた。

 本来なら、蛙の力で引きこまれるか、舟のバランスが崩れるかだが、逆に舌を捕まえられゴンの馬鹿力で舟に引きこまれる。アンの水流を操る術のおかげで、舟は固定をしたかのように動かねえ。便利なことだ。

 捕まえた蛙は俺が直ぐに解体する。臓物は捨てた。毒がある可能性が高いと思ったからだ。身体はデカイが食える部分は意外に少ねえ。もう、二、三匹欲しいところだが贅沢は言えねえ。持って来た保存食を節約するために、少しでも食える獲物は確保をしておきたい。ただ、食える蛙か判らねえから他の連中に視てもらう必要はあるがな。


「おお、美食蛙! 良いのを捕まえたな兄弟」


「王国デハ滅多ニ食エナイ!」


 舟を適当な岸に付けてから降ろした蛙を見てワリスとハダスは嬉しそうにする。どうやら、美味しく頂ける蛙の様だ。有り難い。だが、生で食う訳にはいかねえから火を通す必要がある。

 穴を掘って、日本から持って来たシートを敷き、術で水を入れてもらう。直ぐそこに、水が流れているからそれを使えばいいとガリーザは言うが、上流はエルフの排水路だ。白エルフがいねえ今は使われていない筈だが、どの程度汚染されているかも判らねえ水を使うのは躊躇われる。できれば少しでも安全な方を選びたい。


「言われてみれば、排水路にはまだ汚物が溜まっているかもしれないしね」


 珍しくガリーザは俺の言い分に納得してくれる。以前は、上流にゴブリンの巣があった川の水を平気で飲んでいた女の言い分とは思えねえ。

 適当な石を集めて、これまた術の火で熱してもらう。燃料になる木があればこんなことをしなくて済むが、地下の水脈では望める話ではねえ。術の使えるアン、ガリーザ、ソフィアがいて助かる。

 熱した石をけっ飛ばして水の中に入れると、ジュウと好い音がして湯気が立つ。冷める前に次々と入れていく。多少、水がこぼれても気にしねえ。グラグラと湯が沸き、中に刻んだ蛙の肉と、旅の前に作っておいた乾燥させたニンジンや玉ねぎをぶち込んでいく。ゴンが適当に塩で味付けをする。これで、石焼鍋は少し待てば完成するだろう。


「水路を進むのは身体が冷えますから、温かい料理を食べられるのは助かります」


 出来た石焼鍋を木の匙で食いながらラティオはホッと顔を綻ばせる。他の連中はガツガツと食っている。俺も似たようなものだ。美食蛙は、その名の通りなのか、肉はかなり良い出汁となり、簡単な塩味だけの石焼鍋を美味くしてくれた。柔らかい肉だが、軍鶏肉より味が濃い。肉の旨みが乾燥野菜に染み込んで最高だ。


「あと、どれくらいで地底の洞穴にはたどり着くのでしょう」


「さあな。精霊はデカイ穴があるから直ぐに判るとだけしか、教えてくれなかったからな」


 物知りなソフィアも、この辺りの事はとんと知らない。エルフ大森林ではカヌー作りを手伝わずに、精霊の後について周辺の事を色々と調べていた。てっきり、王国に帰ると思っていたが一緒についてきた。こいつも、面白がっている口の一人だ。


「そうだ、本の金……」


「あ、この肉いい具合に煮えています。よそいましょう」


 俺の椀をもぎ取り、残り少ない鍋の肉をよそい出す。話を逸らそうと言う魂胆だろうが、絶対に忘れねえ。飯を食い終ると、そのまま休憩にした。この先、どこで休めるか判らねえからだ。最悪、カヌーの上に交代で寝ることになるだろう。




 暗く湿った地下の大水脈を進むこと二日。術のおかげで、変なトラブルに巻き込まれることはなく、時折見かける美食蛙を捕まえては炙って食うを繰り返していた。王国や帝国では滅多に手に入らねえらしい、蛙がこんな大水脈で普通に暮らしていることにソフィアは少なからず驚いていた。

 どこかで、この水脈は王国や帝国と繋がっているのかもしれねえ。そう言うと、興味深げな反応をしていた。将来、調べる気かも知れねえ。火間虫の研究はどうすることやら。


「まあ、ここだろうな。どう思うよ、ラティオ」


「はあ、ここ以外にないと思いたいです」


 目の前には、大小様々な石の転がる岸が広がり、奥にはデッカク口を開けた洞穴が見える。水脈の旅は此処で終わりだろう。さて、カヌーはどうしたものか。岸に上げたカヌーを眺めている。担いで持っていく方が良いのかどうか。


 ……勿体ねえから持っていくか。




 ゴンと俺のヘッドライトに照らされたゴツゴツとし岩の道をカヌーを担いで進んでいく。カヌーを持っていくことには賛否両論だった。不要だと言うガリーザやクラテル。ラティオとワリスは、持っていくことに賛成していた。

 ソフィアから「この先、同じような水脈に当たらないとは限らない」と言われ、結局持っていくことに全員が転んだ。わざわざ、取りに戻る苦労を取るなら、持っていく苦労も同じだろうという結論だ。ガリーザは持つことはしねえだろうしな。

 洞穴の道は極端に狭いような場所はねえ。今後も同じとは限らねえが、その名の通りの大洞穴だ。

 しかし、困ったことに道は迷路のように入り組んでいる。一本道ではねえ。さて、どうするか。そんな俺の考えを見透かしたかのように、アンが袖を引き、道を指示してくれる。


「ゲンおじさん、こっち」


「どうして、わかるんだい」


「水の精霊のお導き」


 じゃあ、信じるしかねえか。




「あの精霊の導きは当てにならねえ」


「ごめんなさい」


「いや、アンのせいじゃあねえよ」


 思わず口に出た愚痴が、傍にいたアンの耳に届いてしまった。


 アンの指し示した道をしばらく進むと、複数の蜥蜴の亜人に襲われた。地球のコモドオオトカゲを二足歩行にしたような蜥蜴の亜人は、ラティオと同じ程度の身長でデカイ尻尾を時に振り回す。手足は短いが尻尾は立派だ。デカイ口に生えた牙で噛みつこうと必死に向かってくる。

 近寄って来た一匹の頭に鉄槌をくらわす。他の亜人と同じで足が短いくせに二足歩行を無理にするから、バランスが悪く動きも余り早くねえ。とても、進化と呼べたものではねえ。


 術で散々焼かれ、噛みつかれ、切り刻まれ、重い一撃を喰らい、生き残った蜥蜴の亜人達は這う這うのていで逃げて行く。

 俺の足元には、複数の蜥蜴の亜人「リザードマン」の遺体が転がる。王国や帝国の沼地、池等の水辺で見かける亜人らしい。あまり、まとまった数で見かけることは少ないそうだ。オークと同じ程度の強さだが、時に子供を丸呑みする肉食の亜人のため、オークよりも危険性は高いらしい。

 又、噛まれたり引っ掛かれたりして傷を負うと毒が回り、傷口が悪化するからそのような時は、治療薬を飲む飲まないに関わらずウム婆さんから貰い受けた丸薬のような毒消しの薬を二日間は飲むように言われた。抗生物質の代わりになる薬なのだろうか。


「で、こいつも食うのか、兄弟」


「もちのロンだ。爬虫類系統は鳥の進化系だろうから、美味いだろうよ」


 腹を裂いてモツを取りだした俺を見てどいつもこいつも呆れ顔だ。いい加減、慣れてもらいてえし、食糧になるなら勿体ねえだろう。さて、今回は内臓は捨てるかどうするか、鶏と同じで死後硬直は半日くらいか、それとも身体がでかいから一日二日は見た方が良いか。考えどこかな。

 肉は一応、一日程度おくことにした。なんとなく、直ぐに食える気もしたが止しておく。ハダスの野郎は、やたらと蜥蜴肉を食いたがっていた。いつから、俺と同じゲテモノ食いになったんだ。オークと同じで肉の熟成を待てと教えてやった。ただ、流石にこのデカさの蜥蜴を地球では食ったことがねえから俺も手探りだ。




 変わり映えのしねえ洞穴を進み始めて、三日が立った。


 道は進むごとに枝分かれをしていく。ここまで広く複雑な洞穴だとは思わなかった。蜥蜴亜人の肉を切り分け乍ら食っている。美食蛙には劣るものの、鶏のササミの様な味だ。筋肉質で肉に脂が乗ってねえとこが不満だ。

 あれ以降、亜人達とは遭遇していねえ。もし、あそこで狩り獲っていなかったら腹を空かして倒れていただろう。結局、精霊のお導きは正しかったのかもしれねえ。


「いい加減、陽の光を見たいもんだよ」


「……違いありません」


 ガリーザとクラテルがウンザリした顔で洞穴を進む。LEDのライトは電池を取り替え乍ら進んでいるが手持ちがぼちぼち危うい。暗視の術を使えばいいのかも知れねえが、あれは強い光を使った時に目をやられる。いざと言う時に火の術が使えなくなるかも知れねえ。だが、そろそろ切替時になるのだろう。




 行き止まり。精霊様のお導きが遂に外れたと思ったが、そうではないらしい。


 一人の背の高い人間が、得体のしれねえ何かに襲われている最中だった。襲われている奴はゴンやハダス並に背が高い。力が強そうだ。手にした棍棒で得体の知れない相手を殴っている。が、効いている風には見えねえ。傍から見ても、ブヨブヨとした塊を殴っているかのような感じだ。どうみても、助けが必要だろう。


「おい、アンタ、その訳の判らない生き物は何なんだ!」


 でかい声で問い質す。襲われた生き物から距離を取りつつ、追い詰められていた奴はこちらにやっと気付き、助かったという感じの顔をしている。まだ、助かるかどうかは判らねえし、助けるかどうかも判らねえ。


「あ、アンタ等の中で火の術を使えるのはいるんかい! 強い火の術がいいんだわい」


「ああ、いるぞ! その生き物は燃やしていいのか」


「燃やしてくれい! 粘菌生物には火の術しか効きやせんわい! 打っても切っても、効きやせんわい!」


 アン達に目で合図を送る。一斉に火の術が放たれる。粘菌生物と呼ばれた生き物は火がつくことはなく、ジリジリと焦げて体積を減らしていく。攻撃を加えられて、こちらに標的を変えるようだ。結構でかい。横にも縦にも二メートル位の体長はある。

 アン達に近寄らせないように、それぞれ手にした獲物で追い払おうとするが、奴の言うように手応えがない。水の入った破けない袋を打つような感触だ。


「あまり、派手に打つんじゃない! 素手で触るのもよせい、切り分けても生き残るわい」


 どうやら襲われていた奴は、声の様子からして男の様だ。爪で切り裂こうとしたハダスが危うい所で手をひっこめる。アン達が火の術で懸命に焼くが、体積がでかいせいで中々焼き切らねえ。広くてもたかが知れている洞穴内で戦い続ければジリ貧になりそうだ。こいつは、逃げるが勝ちかもしれねえ。


「アンタ、なんでこんな場所にいる」


 アン達を庇いつつ男に声を掛ける。


「ん? 俺は、この洞穴に住んでいるんだわい。アンタ等こそ何処から来たわい」


「外からだ。……じゃあ、道は判るな。おい、とっとと逃げようじゃねか。道案内を頼む。俺達は外から来たから道が判らねえ、手探りだ」


「おお、判ったわい、後に付いて来てくれ、助けてもらえれば、そのまま集落へ案内するわい。粘菌生物は、火の術で適当にあしらえれば逃げ切れるわい」


「とは言うが、カヌーを担いだ俺達の脚は遅いからな。……アン、牽制代わりに一発、盛大にやってくれ。そいつを合図に、離脱だ!」


 俺の声を聞き、アンは祈るような構えを見せる。後ろで、笑いながらも黙ってついて来ていた顔人の二人が軽く踊りだす。誰もが何をしていると呆れそうな顔をした瞬間、アンの前面から盛大な灼熱の炎が一直線に粘菌生物に向かう。一気に焼かれた粘菌生物は、体積の半分を無くした。逆にその粘菌生物のお陰で、襲われていた男に術の被害はなさそうだ。


「おい、呆けていねえで走れ、走れ!」


 俺の掛け声で、馬鹿面をしていた連中が一斉に走り出す。無理もねえ。俺も驚いた。これなら別に逃げる必要もなかったのかも知れねえ。助けた男も、燻り小さくなった粘菌生物の脇を慌ててすり抜けてから先頭に立ち、一目散に走り出す。かなり早い。進みがたい洞穴の道をひょいひょいと進む。どうやら、本当にこの辺りに住み着いているようだ。置いていかれねえように注意をしておいた方が良いだろうな。



 しばらく走ると男は立ち止まり、こちらを待っていてくれた。途中で何度か振り向き、逃げる速度が調整をされている。後ろから粘菌生物が追ってくる気配はねえ。アンの一撃で、戦意は十分にくじけていた可能性も高い。

 ライトの光で照らされた男は、不細工な面をしていた。ゴンよりかは幾分マシだ。爬虫類の皮を鞣した布を衣服代わりに身にまとっている。靴は履いていねえ。筋骨隆々なガタイ、赤黒い肌、天然パーマの黒い髪、そして一本の短い角を頭部から生やしている。俺達が良く知る、鬼のような男。


「助かったわい。俺は、大洞穴に住む、鬼人種中背族の部族、醜男の若衆でアマームだわい。外から来た、見たこともない他人種に助けられるとは夢にも思わんわい。おお、他の部族の同胞も一人いるのかい、どうりで、ここまで来ることが出来るわけだわい」


 ゴンを見て、肩を叩き珍しそうに声を上げる。俺と、ゴンはどうしてもこの世界で肌人種には見て貰えねえようだ。毎度の事だが、仕方がねえ。説明は後にして、こいつの住む集落まで案内をして貰うとしよう。

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