第3話 行方

 アンは父親がいない、母親を亡くした幼い娘さんです。馬鹿な連中に追い掛け回されているところを私達が助けました。まだ、小さい娘さんです。攫った奴は許せません。ええ、許せません。――ゆるせない。


「ゴン、落ち着け。まずは、話を聞いてからだ。怒るにはまだ早え」


 ゲンさんの問いかけで我に返りました。いけません。悪い癖が出るところでした。落ち着いた私を見て、周りの人はホッとした様子です。


「詳しい話をしてくれるんだろう。俺達が力になれるか判らねえが」


 ゲンさんは、アシオー組合長とウム婆さんの方に顔を向けて話しかけます。ウム婆さんが話を始めます。


「ああ、いいよ。アンが攫われたのは三日前の事さ。私とね、裏庭で薬草を干すのを手伝って貰っていた。店の方から音がしたから、客でも来たかと思って行ってみたけど誰もいない。人が入って来た感じは残っていたよ。

 おかしいと思った時に、裏庭で小さく悲鳴が聞こえたから、慌てて駆け付けたらアンの身体が浮いている。手近にあった棒切れを振り回したら、当たった感触と一緒に、フードの陰に隠れた生白い顔した奴が現れたのさ。驚いたよ。相手はこちらを睨みつけると『霊力の矢』を一発放ってから、又姿を消しちまった。矢はね、防ごうと思ったけど防ぎきれなかったのさ」


「それが、ケガの原因かい。流石に、避けられなかったのかい。それに、この辺りには透明人間までいるのかい。物騒なんてもんじゃあねえな」


「やっぱり術については何にも知らないようだよ。霊力の矢は、対象を追跡するのさ。厄介な攻撃術さ。中級術士なら大抵使える。透明になったのは、『透明化』の術だと思うね。こんな術を使える奴は、王国でも上級術士の一部だけさ」


 少ないだけで、存在することには間違いがないようです。使えるのなら、やりたい放題のようにも思えますが、霊力の所有量により時間が限られることと、攻撃や精神の乱れが生じると直ぐに術が解けると言う話です。霊力の消費も多いらしいので、肌人種では使えても、使いこなせないのが実情なようです。


「なあ、そんな術使える奴は限られているんだろう。アンタ達なら、誰がやったのか大体想像はつくんじゃねえのかい」


 ゲンさんは、まどろっこしいことは無しにしてくれと言った感じで、イライラと足を小刻みに踏みアシオー組合長達に問いかけます。私は、念のため可能性の少ないことを一つ確認します。


「りょりょ、領主や、くく、国の偉い人は……」


「動かないよ。元スラムに住んでいた小娘一人攫われたからって、動くもんじゃあないさ。それにね、相手が分かれば鼻をつまんで追い返される」


 案の定の答えでした。この世界よりましな日本でさえ、治安機関の動きが悪いこともあります。格差の大きい世界では当然な事なのかも知れません。


「もういい。相手は誰だ。俺が行くから、教えな」


「相手は、エルフの白人族。アンタ達はそう考えているんだろう」


 黙って聞いていたワリスさんが苦々しげに口を開きます。どうやら、今迄の話で相手の事が分かったようです。


「霊力の矢に透明化の術を易々と使える生白い顔の人種なんて、アイツ等ぐらいだろう。人攫いをして御上が動かねえのは、気に入らなくても喧嘩をしたくねえからだ。『エルフ紙』に『エルフ布』は貴重品だからな。価値を天秤にかければ、そこらの市民が攫われたって動きやしねえ。帝国なら考えられねえがな」


「帝国でも、人攫いの被害は増えているのか」


「……街中には流石にアイツ等近寄らねえ。霊力はアイツ等が上手だが、理法はともかく、技術と膂力はこちらが上だ。喧嘩しても負ける気はしねえ。だから、郊外の農村にいる、髭もまともに生えそろわねえような子供や、か弱い娘が狙われる。ここ最近、被害が多い。まだ、まともな証拠が揃えられねえ。皇帝陛下諸々、ドワーフ帝国は奴らのことを敵視している。確実な証拠が揃えば……戦争だ」


 ノモス組合長の問いかけに対して、忌々しげな雰囲気で返答をします。ドワーフ達は相当にエルフが嫌いなようです。一拍の間、部屋が無言に支配されますが、見計らったようにノックの音がして、アシオー組合長の掛け声の後に部屋のドアが開きます。


「失礼します。……おや、皆さんお揃いですね。ようやくお戻りですか。結局、向こうに居ついたのかと思いました」


 部屋を覗いたラティオさんは、場の雰囲気にそぐわない軽い感じで私達に再開の挨拶をします。ガリーザさん、ハダスさんも部屋に入ります。続いて、荷物を持ったアエラキさん、オルデンさんも入ります。


 よかった。二人共元気そうです。荷物を降ろして、尻尾を揺らしながら私達の傍に駆け寄り抱き付いてきます。


「元気そうだな、皆。心配をかけさせたか」


「お帰りなさいに」


「ゲンさん達こそ、元気だったかよう」


 二人共、また少し大きくなった感じがします。前回の別れ際に私達が渡した服や防具で着膨れをしているだけではないようです。ガリーザさんが鼻で笑った後に、やれやれと言った感じで答えてくれます。


「心配なんかしちゃあいないさ。殺しても簡単には死なないだろうよ、アンタ達は。ラティオ、言った通りだろう。揉め事が起きたから、そろそろこいつらが戻って来るって」


「部屋を覗いた時はまさかと思いましたが、本当に、その通りでしたね」


 ゲンさんは酷い言われ様だなと、苦笑をして後ろ首を掻いています。確かに、私達が行くところ来るところ何かしらの問題が発生します。これが、こちらに来る原因になっているのでしょうか。一瞬訪れた和やかな再会の雰囲気に、ノモス組合長が割って入ります。


「再開の挨拶はそこまでにしておけ。ラティオ、成果はどうだ」


「駄目です。日陰の森から竜の顎を通り抜けたことは分かりました。これ以上の深追いは私達だけではできないと判断して、戻りました。途中でハダスやオルデンの嗅覚でも分からなくなっています」


「そこまでわかれば十分じゃないかね。ウムの見た風貌に、ドワーフの所見、竜の顎の先にある場所を考えれば、導き出される答えは結局、同じかね」


「竜の顎の先には、なにがあるんだい」


「あれより奥にある人が住む場所は、こちらで把握する限りは『エルフ大森林』しかないね。しかし、そうするといずれにしても困ったことになるね」


 攫った相手が分かったのです。悩むこともありません。乗り込んで草の根分けても探し出します。邪魔する奴は、皆、殴り倒します。


「慌てるんじゃないよゴン。手が出せないんじゃなく、案内役の伝手がないのさ。森守を自称する白人族のエルフは、他人種を蔑む傾向を持っていて、ほとんどの人種と付き合いが無いのさ。

 悪いことに百年前くらいから白人族は「純血主義」を掲げているよ。特産品の交易はしているものの、自国に他人種を入れる、ましてや人攫いの調査なんて絶対にさせやしないよ。いずれにしても、草の根分けて探そうと思っても、大森林はかなり広いから無理があるね」


 心を読まれたのか、顔に出ていたのか分かりませんがウム婆さんに指摘を受けてしまいました。鼻息荒くガリーザさんが憎々しげな顔をしています。


「森守!? 何を言ってるんだい! あんな下衆人族がそんな大層なもんか。一度、白エルフの旅人だって男が酒場で女衆に「下賤な人種であろうと抱いてやる、ありがたく思え」なんて言いやがったから後ろから張り倒して、皆で叩き出したことがあるよ。そしらた怒り心頭で、街のど真ん中で火の攻撃術を放ちやがる馬鹿な人種さ!」


 その後、ガリーザさんだけ衛兵に捕まり一晩牢屋に入れられたということです。その間に、エルフの男はいなくなって問題はうやむやになり、男の放った術のせいで、建物や住人に被害も出て、そのうえ誰からも補償もなく、住人に文句を言われ散々な結果だったようです。


 しかし、誰もが知らない地で伝手も何もない状態では、流石のゲンさんでも何もできないのか、顎鬚を掴んで目を閉じ悩んでいます。まあ、多分、無理を承知で乗り込むことにはなるでしょう。それでも、もちろん付き合います。


「……伝手ならある。実は、兄弟達がこっちに向かうと知って、うちの会長が皇帝陛下から直々の依頼を授かっている。交易都市の狩人組合長にこれを渡してくれと頼まれている」


 ワリスさんは皇帝陛下直々の書簡を革のバッグから取り出し、アシオー組合長に投げ渡します。目上の人に、皇帝陛下から依頼され内容を認めた、大切な書簡を投げ渡すのもいかがなものかと思いますが、年齢を考えるとワリスさんの方がだいぶ上です。気にする素振りもなく、アシオー組合長は書簡を開き黙読をします。


「ふうん、爺さんの時の礼ね。肌人種にとっては随分な時間が経っているがね。ドワーフにとっては最近のことになるのかね。いずれにしても、ゲンとゴンを巻き込んで、こちらの手も貸し出すのだから、礼とは言えないかもね。まあ、成功すれば確かに見返りも大きいが、かなり危険性も高いね」


「アシオー爺さん、皇帝の依頼はなんなんだい」


「エルフの紙と絹の技術調査だって。調査とはどうせ名ばかりだけどね。指定の場所に、エルフ大森林の伝手があるから合流しろと書いてあるね。報酬は、政治的なことと、調査者には各自に金貨百枚、ドワーフ謹製の武防具又は法具のいずれか。あと、ゲンにはお姫様ってあるけどこれは何の冗談かね?」


 金貨百枚の声にはガリーザさんが感嘆の声を出し、ドワーフ謹製の武防具・法具にラティオさんが興味を示し、最後の言葉にゲンさんが思わず吹き出します。最後はおかしいですね。それはもう、花火の報酬として貰い受けることになっているのですから、改めて書く必要は無い気がします。


「スゲエな兄弟、皇帝陛下の御墨付だ。美髯姫を嫁に頂けるなんて……」


「貰わねえよ、ワリス。クラテル、俺の代わりに貰え。遠慮するこたあねえ」


「ええ! い、いえ、私なんかではとても釣り合いません、お、お断りをします」


 ウンザリとした顔でゲンさんはクラテルさんに譲りますが、顔を赤らめながらも残念そうな顔でクラテルさんは断っています。捉え方がまるで正反対です。ノモス組合長とアシオー組合長は依頼書を見ながら話し合いをしています。そして、改めてこちらを見て話を始めます。


「冒険者組合から、星の瞬きに依頼を出そう。ゲン達と同行して、今回の依頼の完遂に努めろ。但し、危険と判断した場合は速やかに退け」


「……私達は構いませんが、もっとランクが上の方を付けた方が良いのではないのでしょうか」


「いや、気が知れたお前達の方がゲン達もやりやすいだろう。それに、実力を過信するのはマズイが、過小評価する必要は無い。かまわないか、ゲン」


「ああ、問題はねえ。ただ、ひとつ注文がある。……アエラキ、オルデンは今回の依頼には付いてこさせねえ」


「な、なんでだよう!」


「ちゃ、ちゃんと働くに!」


 一瞬、顔が強張ったリカーさんはホッとしています。アエラキさん達は、必死にゲンさんに付いて行くと騒いでいます。しかし、私もゲンさんの意見に同意します。今回の依頼は危険です。


「お前達が使えねえと、言っているわけじゃあねえんだ。流石に、今回の依頼は危ねえ。子供を連れて行くような仕事じゃあねえ。代わりに俺からお前達に依頼を出そう。

 リカー嬢さん、俺達が戻るまでの間は二人にウム婆さんの手伝いをさせてくれ。薬草採取だけじゃなく、薬の作り方なんかも学ばせてくれ。当面の報酬として金貨三枚出す。そっちの諸経費を差し引いて日当を決めてくれ。足りない分は、戻ってから再度払う。婆さん、構わないだろう」


「ああ、構わないよ。腕をケガして、難儀していたところだ。ついでに、みっちりと鍛えてやるさ。リカー、授業料で金貨一枚よこしな」


「待てよ、婆さん。アンタへの報酬はまた別だ。これをやる。言語読解の術を掛けて貰ったついでに、訳した本でも書いてくれ。どうせ左腕をケガして、暇なんだろう。怪我したのは、利き腕じゃあねえから字ぐらい書けるだろう」


 荷物の中から、家庭用医学の本と、漢方薬、薬膳酒の本を投げて渡します。ウム婆さんは目を見開いて驚いています。


「お、お馬鹿! こんな大事な物、こんなところで出すんじゃないよ!」


「ああ、構わねえよ。もう、隠すのもくたびれた。アシオー爺さんとウム婆さん、話のついでだ、アンタ達の知己から手紙を預かっている。渡すぜ」


 ワリスさんと同じように、占い師『テリザ婆さん』から預かった手紙を投げて渡します。いったい誰からかと、二人共首を傾げていますが、裏面を見て、手紙の差出人を見た瞬間、同時に立上り叫びます。


「「ニ、ニフテリザ! 先読みのニフテリザからか!」」


「ああ、多分そうだろうな。夜のアシオーさんに、癒しのウムブラさん」


「「その名で呼ぶな!」」


 顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに二人はゲンさんを怒鳴りつけます。怒鳴られたゲンさんはゲラゲラと笑い、周りは唖然としています。二人共、手紙の封を開け必死に目で手紙の内容を読みます。手が震えています。


「おいおい、血圧上がり過ぎてポックリいかれても困る。頼むから、落ち着いてくれ」


「そう簡単には逝けないよ。アンタ達、これをどこで貰ったんだい、イヤ、これに書いてあることは本当なのかい」


「何が書いてあるかは知らねえが、本当の事だろうよ。アシオーの爺さんは、とうの前から知っている」


 ウム婆さんはジロリとアシオーさんを睨みます。当の本人は、睨まれてもどこ吹く風と言った様子です。手紙を読み終え、フウと一息ついてから再び腰を掛けます。


「驚いたね。行方が知れないから死んだとばかり思っていたね。ニフテリザらしくないとは思ったけど、まさか、ゲン達の国にいるとは思わなかったね」


 話によると、アシオーさん、ウム婆さん、テリザ婆さんの三人は、若い時に班を組み冒険者として活躍をしていたそうです。ノモス組合長は、一度荷物持ちに駆り出されていると話しています。


「Cランクになったばかりだったが、私を荷物持ちに指名するとは、何様だと腹を立てたものだ。目当てが少人数で飛竜を狩りに向かうと知った時は、無茶苦茶だと思ったものだ」


 目を細めて蒼い顔をしたノモス組合長は遠い目をして、一人呟いています。よっぽど嫌な思い出なのでしょう。冷や汗が浮いています。


「で、アンタ達の国は結局どこにあるのさ。遠い国って割には、よく帰っているようだし。実は近いのかい」


 お年寄りたちの昔話に飽きたガリーザさんがこちらに問いかけてきます。どう答えればいいのでしょうか。しかし、ゲンさんは悩みもせずに本当の事を言います。


「にわかには信じられねえかも知れんが、俺達はこの世界の住人じゃあねえ。異世界の人間だ。その世界の、日本っていう国から来た。まあ、色々と珍しい物や知識をひけらかしたから、皆おかしいとは思っていただろうがな」


 当たり前のように語るゲンさんに、ウム婆さんとアシオーさん以外の人は怪訝な目を向けています。当たり前ですが、信じていません。アシオーさんが口を開き、説明を始めます。


「本当の事さね。ノモスは覚えているだろう。さっきお前が言った竜の狩りに、荷物持ちの青年が一人付いてきただろう。あれ、異世界人。まあ、いなくなった後で、部屋に残った日記を読んで知ったのだけどね。その三年後に交易都市に迷い込んで、ドワーフ帝国に旅立った鍛冶屋の爺。あれもそう」


「オイオイ、あの人も兄弟と同じ国の人だってえのかい!? いや、あの技術と知識を考えればおかしくはねえか……」


 ノモスさんから告げられた鍛冶屋の名前を聞き、ワリスさんとクラテルさんが驚きの声を上げます。どうやら、帝国では知れた名前のようです。場は、少しざわめきます。


「アシオー爺さんが言う二人の事は誰だか知らねえが、まあ、そうゆうことだ。信じる信じねえはお前達に任せるよ。話が随分と明後日の方向に飛んじまったが、アエラキ、オルデン、二人は俺の依頼受けてくれるかい」


「……受けるよう。ウム婆さんの手伝いするよう!」


「ちゃんと薬のこと勉強して、二人に渡すに!」


 嬉しいことを言う二人を私は、抱え上げます。高い高いと嬉しそうにはしゃぎ、私の頭を叩いています。大きくなっていますが、まだまだ軽いです。もっと勉強をして、大きく育ってもらいたいです。もちろん、アンも一緒にです。


「ワリス、皇帝陛下直々の依頼だ。断るわけにはいかねえ。断る気なんてさらさらねえがな。ゴン、構わないな」


「ああ、かか、構わない。やる。アア、アンを救い出す」


 返事は決まっていました。心強い人達もいます。失敗はしません。アンを必ず、救わなければなりません。


「狩人組合からも、腕扱きを一人よこすからね。明日にでももう一度ここへ来ておくれね。それと、ゲン、このあと、血抜きや獲物の肉の処理について詳しく教えてほしいね。ウムやオルデンの話だと、随分と鹿の狩り肉が美味くなるらしいからね」


「狩人組合がそんなことを聞いてどうするんだ。獲物を狩人が勝手に解体すると引き取り価格が下がるんだろう。以前、受付でそう言われた」


「……その辺の話も、詳しく聞かせてもらうかね」


 アシオー組合長は知らなかったようです。あとで、若い担当の方は怒られるのでしょうか。私はなんとなしに、自分の荷物からカメラを出します。


 実は、こちらに来る直前に防水対応のデジタルカメラを買っておきました。電池もたくさん買ってあります。ゲンさんがインスタントカメラを買ったのを見て私も欲しくなったのです。贅沢は出来ないホームレスですが、たまには、こうゆう買い物も必要でしょう。ゲンさんも許してくれました。


「たた、旅の前の、きき、記念に一枚」


「珍しいなゴン。オレのでも一枚撮って貰うか」


 アンの救出前で本来なら不謹慎な行為かも知れません。ただ、なんとなく今、撮っておかないといけないような気がしてならなかったのです。


 ゲンさんは自分の荷物からインスタントカメラを取りだします。若い組合担当者が呼ばれ、ゲンさんからのレクチャーを受けて写真を撮って貰います。私のデジカメは、中のディスクに記憶されるだけですが、その場で印刷されるゲンさんのカメラには、王国の人達から驚きの声が上がります。


 この場にソフィアさんがいなくて良かった。いたら、又、色々と騒がしいことになっていたでしょう。


 色々と話を決めているうちに、時間は過ぎていきます。宿はとらず、都市の外で野宿にします。皆、呆れていますが、ワリスさん達から王国の宿について聞いても「最悪」としか教えてもらえません。それなら、野宿で構わないかとゲンさんと決めていました。まだ、夜は冷えますがテントと寝袋があれば過ごしていけます


 解散後、露店で夕食を買いこみ門の外へと向かいます。


 ――アンは、きちんと食事を取らせて貰えているのでしょうか。早く救い出して安心をさせてあげたいものです。

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