第9話 ホラー小説『アイズ』(鈴木光司氏著、角川ホラー文庫)レビュー
ホラーというより不思議な因果の物語。
今回紹介するのは、ホラー小説……なんですが、正直あまりホラーでない短編集です。
内容はホラーというよりも、少し不思議な因果のお話。何者かに「呼ばれた」あるいは「導かれた」物語が多いです。
あと、なぜか浮気と母子家庭が何度も出てきます……何かの符号でしょうか。
さて、面白いか面白くないかで言いますと、恐怖を期待しなければそれなりに面白いです。
文章が破綻している訳ではないし、最後の「オチ」もちゃんと付いています。
ただ著者が有名なホラー小説作家のようなので、どれだけの人が正統派ホラーを期待して購入したかを考えると……。
お勧めの短編は「クライ・アイズ」。ある「勘違い」から引き起こされるサスペンスです。
先の展開が読めなくはないですが、真剣になっている登場人物をあざ笑うかのような展開が見物です。
あとがきを読むと、同著者の『仄暗い水の底から』が読みたくなるかもしれません。
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