番外編 父からの手紙
~~~~~愛する我が子 ハツキ~~~~~
この
俺はもうこの世には居ないんだろう。
なんてありきたりな書き出をしてみたぞハツキ。
ちゃんと笑ってるか?泣いてないか?
ハツキの事だ。きっと泣いてるんだろうな。
ハツキ一人でこの本のトラップに気が付いたのか?
もしそうなら偉いぞ。
他の誰かに教えて貰って、自分で解除出来たならそれでも偉い。
他の誰かに教えて貰って、他の誰かに解除してもらったなら今すぐこの本を捨てろ。
よしよし。捨てずに済んだのだな。
偉いぞハツキ。
さすが俺の自慢の息子だ。
ちゃんと飯は食っているか?
幸せに過ごせているか?
お前が幸せに過ごせているのであれば俺もフェーリアも満足だ。
この本にはお前が困ったときの為の道標を残しておこうと思う。
俺が居なくても道を見失わないようにな。
まず1つ。
俺の村から北に行くとリーネと言う名の街があるのは知っているな?
そこのギルドに俺の名前を言ってハツキの右腕を見せろ。
そして宿を紹介してもらえ。
その後、お前に会いに来るヤツがいる。
そいつは俺の昔から知り合いのヤツだ。
必ずハツキの力になってくれる。
ここまでちゃんと理解したか?
ハツキは抜けてる所があるから少し心配だがまぁ大丈夫だろう。
次に2つ目だ。
フェーリア。お前の母さんの話だ。
フェーリアも能力者だった。
先天性のな。
フェーリアの旧姓は「アイナ」だ。
アイナ一族は、代々神に仕えてきたと言われている。
生粋のヒーラーだ。
それを俺がもらってきた。
まあそれは良いとしてだ。
フェーリアは先天性能力者で常に自己回復する能力を持っていた。
そして知っているかわからんが
他人が受ける痛みを自分に移し、自分は自己回復する。
ヒーラーとして、ほとんどチートな能力だな!
しかし、その能力にも欠点ってのがあってな、致死ダメージ以上受けると
死んじまうんだは。
まあ、ハツキが知ってる通り、俺がバカやって失敗して、ハツキを危険に晒した。
その結果、フェーリアは死んだ。
その時、フェーリアが俺に託した。
ハツキを護って。私が居なくてもずっと護ってあげてってな。
そして
もしかすると俺が死ぬ所を見てればなんだが
体中に黒の蛇が這ってる様に見えたはずだ。
それは《ウロボロス》つってな体中を這って一周して自分の尻尾まで
辿り着くと、その使用者は死んじまうんだと。
どっちで死んだか俺にはわからねえんだけどな。
この能力はお前に受け継がねえ。
お前にそんな呪いくれてやりたくねえからな。
ただ勝手にいっちまったらすまねえ。
フェーリアの能力があればウロボロスの呪いの進行も遅いらしいんだが
わからねえままギャンブルなんてしたくねえからよ。
なんか長くなっちまったな。
お前の事を考えると心配で心配でたまらねえんだよ。
お前を残して死んじまって情けねえってな。
ある程度、成長しててくれればいいんだがよ。
これで最後だ。
最初から半分のページはマジック・トラップが掛かっている。
契約者はフェーリアだ。
俺は外せたがハツキは外せたか?
ハツキの事が書いてあるぞ。
と言うかハツキの事しか書いてない。
この本はハツキの為だけに書いた。
俺とフェーリアのプレゼントだ。
大事に使ってくれよ。
俺達はどこに居たって、ハツキの味方だ。
いつまでも見守っているぞ。
さよならだ。ハツキ。
愛する我が子よ。
元気でな。
~ハル=サンブライト~
あ!忘れてた。
もし継承してなかったらわりーから一応、仕掛けておく。
第12代 トレジャーハンターマスター ハル=サンブライトは此処に宣言する。
今を持って、我が証を我が全ての権限を
ハツキ=サンブライトに譲渡する。
本日より、第13代 トレジャーハンターマスターは
ハツキ=サンブライトである。
それじゃあな。押し付けてわりーけど
宜しく頼むは、13代マスターさん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます