第N話 それぞれの未来
一人の少年を救った少年と少女。救った少年は白髪が目立ち始めたとある高校の中年教師が『組織』へと連れて行った。
「ふぅ、今回も上々だね。というか失敗なんてしたことがないけど」
「【全能】なんだから、当たり前でしょ」
「まぁね」
少年と少女の脳裏には中年教師を含めた六人の顔が浮かぶ。中年教師はともかく、
他の五人とは高校卒業以来合わないようにしている為、今も尚浮かぶのは若い頃の姿だ。
異能の力を持つ人間を救う度に、その内の一人との約束を思い出す。そして連鎖反応のように残りの四人のことも思い出す。
「みんな元気かな」
「さぁね、どうせみんな上手いことやってるでしょ」
少年と少女は知らない。
都市部から離れた長閑な町でのんびり暮らす元精神科医のことを。
同業者がドン引きする程度の圧倒的な腕を持つ夫婦記者のことを。
ほんの一瞬見るだけで必ず心を動かされてしまう、五感で感じる魔性の力とも特殊能力とも言えるような魅力を放つ、両親のいない子供達へ積極的な支援をしている演劇女優のことを。
そして、隠居してしまった精神科医から熱烈に指導を受けた精神科医のことを。
少年は異能少女と出会い、そして…… 不皿雨鮮 @cup_in_rain
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