第6話 交渉

あーこれあれだ。異世界に飛ばされたやつに大抵起こるボスキャラとのご対面だわ。

「おいっ!!お前なに逃げようとしてるんだ。目の前にこの俺様が居るんだぞ」

あー、しかもこれ詰んでるパーターンだ。なんだよこれ。クソゲーじゃねぇかよ。

まず、でかすぎるんだよ一体 なに食ったらこんなになるんだよ。

「おいっ!!お前本当に聞いてるのか」

もう、なんでもいいや。どうせ二回も死んでるし、またなんとかなんでしよ。

「はいはーい。きいてますよー。なんのご用でしょーか」

「おっ、お前俺様を馬鹿にしてるのか」

「ちがいますよー」

「なっ、ならいい」

あれっ、こいつもしかして案外チョロい?

なら、話し合い次第で逃がしてもらえるかも。

「単刀直入に聞こう。お前はさっきなにをしていた」

これを正直に答えるようなことはさすがにしないだろ。

「少し、用を足しに。あとちょっとで漏れそうだったもので」

「そうだったのか。それなら悪いことをしたなだが、何故今は大丈夫なのだ?」

くっ、そこをつかれるとは。もう少し考えるべきだったな。まあいい。

「アース様の前で緊張してしまい……。用も足したかったことを忘れてしまいました。アース様すみませんがどうか少しだけトイレに行かせてくださりませんか。もう、限界なのです」

よしっこれは華麗に決まったぞ。トイレに行くと見せかけて……

「俺様はアースではないのだが……」

えっ。こいつアースじゃねぇーのかよー。びびって損したわー。

「俺様はこの世界でいうところの魔王なのだが……。本当に知らないのか」

悪化したわ~。もう、余計悪化したわ~。

なんなのもう、どーしてこんなことになんだよ。ゲームでいうと始まりの村辺りだろ~。

「おいっ、早く答えろ」

もう、知らんどうにでもなれ。

「そんなわけないでしょ~。ハハハハ、ハハハハ」

「そっ、そうだよなみんな知ってるよな、うん」

どうかされたんですか?

「これまで少しいろんな村を見て回ったんだがな。会うやつ全員変な身なりをしているは、俺にため口で話しかけてくるはで俺って本当に魔王なのかここは本当に自分が住んでいた世界なのか心配になってな」

あー、これあれだわ。多分転生させられたやつと偶然会ってしまったんだな。

にしても、こんなでかすぎる奴にため口で話せるやつがいるなんて、異世界転生するやつらキャラ濃すぎだろ。

「まぁ、それはそうとして。お前トイレは大丈夫なのか?」

あぁ、そういえばそうだったな。

「すいません。もう漏れそうなのでトイレに行かせてもらいます」

そう言って。さっきのおっさんたちの家へむかう。そのとき、

「まあ、こんなクソみたいな世界だけど、頑張れよ!!応援してるぜ」 俺はこの世界で一番優しいのは魔王なのではないかと思いながら、さっきまでの道のりを駆けていった。

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