第7話 無能
俺と魔王との遭遇の後、俺はおっさんとおばさんの下に戻る途中さまざまなことを考えていた。
あの、おっさんとおばさんはまた見ず知らずの俺をまた家に入れてくれるのか。
(あわよくば、泊めてもらおうと考えているが……)
その二、俺に何かしらの敵に対する対抗手段はないか。
(魔王さんは、人が良さそうだったけど、アースって奴はどういう奴か分からないし念のため対抗手段は持っておきたい。)
その三、他の転生させられたやつらに会えるかどうか。
(これに関しては正直、この事が良いことか悪いことか迷っている。まず、第一に会ったとしてもあまりメリットがない。しかも、この村から出ていくのも、今度こそアースとかいうやつが襲って来るかもしれない。)
う~む。
俺がそうやって悩んでいるとふと、声が聞こえてきた。
この声は……。俺の忘れたくても忘れられないこの現状を作り出した張本人でもある、こどもの声だ。
「どもども~、元気してた~。神だよ~」
あぁ、この陽気な声が俺を地獄に叩き落としたんだなと思うとふつふつと怒りが湧いてくる。
「君もやっと、この世界の魔王と会ったみたいだね。君くらいだよ、そんなまともに魔王と話せたのは。」
なんだこいつ、さっきからなにをワケわかんないことを言っている。
「えっとねー、君の心の声に答えるとしたら、僕がそう仕向けたからだよ。魔王の近くにわざと転生させてあげたんだから感謝してよね~。大変だったんだから」
こいつ、心の声も読めるのかよ。まあ、そうかこんなところに飛ばせるんだからよ。
「それじゃあ聞くが、俺はなんでこんなところにいる。普通死んだら天国に行ったり輪廻転生したりするだろ。普通」
「まぁ、普通はそうだよ。けどね、少し僕としても困っていることがあってね。君たちに助けを求めようとしたんだ」
「困っていることってなんだ。神なんだからなんでも出来るだろ」
「君は勘違いしてるけど、神は万能じゃないんだ。そしたら君たちがいた地球だってもう、神の遊び道具だよ。それでも、そうなっていないってことは、神は世界には干渉できないってことの証明にならない?」
「ならないな。だけど、話が進まないから信じてやる。だけど、お前はどうして俺らを選んだ。もっと他にいただろ。」
「それを?聞いて欲しかったんだ~。実は君たちには過去にこの世界を救った、正確には救いかけた勇者たちの能力があってね、だから君たちにこの世界を救って欲しくて呼んだんだ」
「まて、まったくもって理解できん。まず、どうやったら世界が救える。そして、何故俺らに勇者たちの能力が備わってる」
「この世界の救いかたはいたって簡単。魔王を殺せばいい。能力に関しては偶然としかいいようがないね。ちなみにだけど、もし魔王を倒したら、どんな願いでも一つ叶えてあげるよ。どう、悪い話じゃないでしょ」
はっきりいって悪いが俺にはどうしても叶えなきゃいけない願いがある……。けど、魔王さんを殺すのは……。
「ちなみに君もとりあえずだけど才能はあるよ。右腕を見てみて。」
うおっ。今まで気付かなかったけど、ゲームみたいなステータスがくさんええがかれている。
「君たちには、それぞれの固有能力があってね君の場合『勇者の剣』で今は??????だけどレベルが上がるにつれて能力が解放されていくから楽しみにしててね」
うぉぉぉぉぉぉ。これで盛り上がらないやついないっしょ思うくらいには盛り上がった。そして、
「俺、魔王倒します」
「うんっ。その返事を待ってた!それじゃあそろそろ行くね」
ピュン。という音とともに神は消えた。
こうして俺の勇者としての冒険劇が幕を開けるのだった。
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