第4話 最弱

『始まりの里』

駆け出し冒険者にはうってつけのスポットである。

レベル上げやギルドヘの加入、更には食糧や武器を揃えるための店も豊富にあり、まさしく、ゲームでもお馴染みの場所である。

但し、とある一点を除いては……


俺が目を覚ましたのはさっきまでの狭苦しい部屋とは対照的などこまでも続く青い草原の中だった。

あの過去のことを考えていたのか少し悪い目覚めになったがそんなことを忘れれるくらいにここは気持ちよかった。

「ふあぁ~」

少し間抜けなあくびをして俺はこの自然のベッドからゆっくりと立ち上がった。

当然のように周りは草と牛だらけで。

そう、草と……牛!?

周りに何十頭も牛がいたのだ

どんな状況に置かれているかなど、皆目検討もつかなかった。

すると、

「おい、てめぇ俺の農場で何してんだよ」

とものすごくゴツい声が響いた。

ジャイ○ンの何倍もゴツい。

「いや、急に目が覚めたらここにいて……」

と、自分のことを話していると気づいたことがあった

そう、・イカツイおっさん『レベル5』HP560と頭の上に書かれているのだが……。

気にする様子もなかったのでそっとしておくことにする。

「てめえ勝手に俺の農場を荒らすんじゃねぇ!!」

おっさんはゲンコツを繰り出した。

そのゲンコツはとても強烈だった。

鈍器で思いっきり叩かれたらこうなるんだろうなぁと思うほどで、元から少なかった俺の脳細胞がものすごく減った…。

また、 俺の目の前は真っ暗になった……。

今日(多分まだ今日のはずだ)俺は少なくとも二回死んだ。一回目は自分で、二回目は自分を神と名乗る頭イカれてるヤツ。

さすがに、三回も死にたくはないなぁと思いながら開けると目の前にはおばちゃんとさっき俺の脳細胞を殺したおっさんがいた((((;゜Д゜))

ヤバイここからいち早く立ち去らなければさ

「ほんとすまないね、家のバカ夫が」

「いやー、すまないすまないいっつもここら辺荒らしてるガキんちょかと思ってな」

はい? てことは、俺はただの勘違いであんな強烈なゲンコツを喰らわされたということかよ。

納得いかねぇー。マジ、納得いねぇー。という俺の心からの叫びを呑み込んで話を聞くことにする。

「普通なら、少し頭がジンジンする程度なんだかな。まさか、気絶までするとはな。」

あんだけ盛大なゲンコツかましといてよく言うよ。

「けど、まぁお前さんあれくらいで気絶するようなら、今すぐこの村からでていかないとヤバいぞ。」

「あーウルセェー、さっきから俺のことバカにしやがって。ずっと我慢してたがもう無理だ。」

と、俺は高らかに宣言すると、おっさんが言った。

「俺はお前さんのような元気のあるやつは嫌いじゃねぇ。けど、お前みたいなやつほどアースさんから狙われるからなおさら、ここからでていくことをおすすめするぜ。」

「アースって誰だよ。」

その言葉が俺の口から出た瞬間。目の前の夫婦はただただ立ち尽くしていた。


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