第310話 クロさん夜更かし

『ニート…ブラッシング』

 深夜にクロさんがやってくる。

 珍しい…

 チョビさんは夜騒ぐことがあるが、クロさんは、あまり騒がない。

 もとが大人しいというか、落ち着いているというか…

 走らない猫、それがクロさんだ。


 ノソリ…ノソリと歩くのだ。


 それが、この真夜中に…

 まさかの枕元でベシベシ、僕を叩く。

「クロさん…明日にしませんか?」

 ブラシをジッと見ているクロさん

 無言の圧力というヤツだ。

『ニート…春はムズムズするな』

 毛の生え代わりなのだろうか…春の到来を猫の毛の量で知るとはね…真夜中に…

「エンドレスなんだよな~」

 いくらでも毛が抜けそうだ。

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