第176話 桜散って

 庭の桜も散ってしまった。

 桜というのは、身近ではあるが気づけば散ってしまっているような気がする。

 落ちた桜の花びらのうえをソロリ…ソロリとクロさんが歩く。

 時折、足をブルブルと振って、足に付いた花びらを落とす。

 暖かくなって、ダンボールを敷いて桜の木の下でクロさんとチョビさんを遊ばせる。

 おやつのカマボコを食べさせながら、クロ猫姉さんを思い出す。


 そのうち、クロさんとチョビさんは丸まって眠ってしまった。

 不思議と姉さんもソコにいるような…春の日の惑い。


「2人とも、姉さんより大きくなったよ…」

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