第128話 つらら

 クロさん、ファンヒーターの前から動かない寒い朝。

 チョビさんは、窓から外を眺めている。


 クロさんにも、冬を感じさせてみよう。

「クロさん、つららだよ」

 僕は、木にぶら下がった、小さなつららをクロさんに差し出した。

 つららの先端から、水がポタリ、ポタリと落ちる。

 クロさんはクンクンと匂いを嗅いで、つららを舐めている。

「たまには、こんな水もいいかい?」


 姉さんが眠る、桜の木にぶらさがった、つらら…姉さんの匂いがするかい?

 クロさん…。

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