第111話 雷雨

 雨が降る、雷も鳴る。

 僕の腹の上でチョビさんは寝る。


 目を細め、時折開けて、空を見たり、僕を見たり。

 今日は寒いし大人しい。


 雷が嫌いなクロさん、早々にどこかに隠れてる。

『ニート、動くな』

 少し動くたびに前足を伸ばして僕の胸をポンッと叩く。

 そのまま目を閉じて眠る。

 雷が鳴ると、目を見開いて空を見る。

 金色の瞳、不思議な光沢。

 雷雨の夜、窓際で雨の音を聴きながら外を見る。

『ニート、寝よう』

 青白い光が走る夜。

 チョビさんは外の寒さも、雷の怖さも知らない。

 外で震えるノラさん、どこかに隠れるクロさん。

 チョビさんだけは、そのわけを知らない。

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