1-7
真意はすぐに伝わったはずだ。
物心ついた頃から『
『
だが撃たなかった。
一華には理解不能な躊躇を一瞬だけして、久丈は強化された身体能力でその手に持つ魔法剣を槍投げのように投擲した。
恐るべき速度で放たれたその剣は大気と炎と魔力障壁を切り裂いて、魔道士の額を深々と貫く。衝撃でわずかに退がり、王城の頭が空を仰いだ。殺した。間違いなく。だがそれは、魔道士にとっては『数ある死』の一つに過ぎなかった。
剣を生やしたまま上を向いた王城の頭がゆっくりと正面を向く。魔力球の一つを形状変化させ、器用にその剣を抜いた。傷が瞬時に塞がる。
やはり、と王城が呟いたように一華には見えた。
だから、それは一華のミスでもあったのだろう。王城はその可能性に至っていたのだから。あれだけの実力を備えたプレイヤーがなぜ無名なのか。何らかの欠陥があるのではないか。考えにくいことだが、可能性が無いとは言い切れない。
よくある思い込みである。
まさかこんなに強い人が『あれを一切使えない』なんて、そんなはずはないという、一華の思い込みが生んだミスでもあったのだ。
王城を殺しきれないまま演奏は終了する。タキシードの妖精たちが一礼して消え去る。『大いなる
――ごーん、ごーん、ごーん……。
ふっ、と全ての痛みが掻き消えた。胸に刺さったナイフが消えて、装備が開始時点に戻る。大きな鐘の音が三つ、どこからともなく響いていた。
戦闘終了の合図だった。
直後、戦場にいる四人のクラスプレイヤーの目の前にウィンドウが浮かび上がる。
第二一練習場・ランキング戦。
試合時間:九分五十九秒。
一華&久丈ペア、残コスト0。
王城&蛇空ペア、残コスト3――勝利。
一華と久丈は、敗北した。
久丈はこの試合で、六度、死んだ。
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