第7話 ケンブリッジ大学の森の中で……。

 ケンブリッジの森は深く。妖精との出逢いは叶った。

その妖精の名はマティオス・マーティンだった。屯場は彼女の全てに魅了されていた。屯場自身は気弱だったので、自分から積極的には動かなかった。自然に任せた。彼は年甲斐もなく照れ屋だったので、自分から進んで女性に話しかけれということはしなかった。ボリュームのある彼女との出逢いでも学習での学びの中での出来事以外には自分から積極的には動かった。何故かというと勉学に来ていたので、時間が勿体なかった。乙女の祈りのような彼女は純白のドレスに何時も身を包んでいた。彼女は身体のボリュームに比べて顔をあどけなかった。ピンク色に頬を染めて喋る様子は初心な感じであって中年心を誘ったが、それには無理がなく自然だった。

 ケンブリッジの森には多くの妖精がいて、屯場も迷ったが、マーティンは格別だった。フランスの女学生、スイスの女学生、スペインの女学生、イタリアの女学生、アメリカの女学生などがおり、妖精の宝庫だった。フランスの女学生は小柄ながら、笑みが可愛らしかった。スイスの女学生は母親と来てきて、虫が付かないように警戒していた。スペインの女子学生はグループであったが、南国的な健康色で元気そうだった。イタリアの女学生は身長の高い女優のような感じだった。ギリシアの女学生は正しく、女優ソノモノだった。これらの妖精に囲まれての勉学は屯場にとっては夢のようであり、本当に現実なのかと頬っぺたを抓ったが本物だった。屯場は女性のように繊細で、真っすぐな性格で、正義感があってニコヤカなために女性には人気があった。

 ブラザーのワープロまで持ってきて、エッセイをテーマ別に2案提出したが、英国の憲法では合格して免状を貰ったが、英国の近代社会では修了証書だけであった。まわりには妖精が多かったが、エッセイの提出で遊ぶどころではなかった。

誤植などもあり、何回も打ち直しをするために時間がかかった。宿舎に閉じこもり、夜中の2時までワープロで打ち直しを行った。

 2週間ではあったが、ケンブリッジ大学の本物のインターナショナルサマースクール`89の終了証と英国の憲法の合格証書と英国の近代社会の終了証の3枚の免状を貰った屯場は気分がスッキリしていた。

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