第8話 日本の硬貨5円玉のプレゼント。

世界中から集まるケンブリッジ大学のインターナショナルサマースクール`89に参加できたのは、今までの外人講師による2年間の英会話の研修と今までの英会話での集大成であった。

 テーマの一つである『英国の憲法』の講義の内容に触れると、講師の英語を喋るスピードは並大抵ではなかった。まるで、機関銃のように言葉がくるのであった。マーカレット・サッチャーの連呼からはじまって、何も見ないで、フォークランド(マルビナス)紛争の講義だったが、サッチャーの評価を高評価しての連呼だった。

 屯場は最初は十分の一ぐらいしか理解できなかったが、耳が馴れてくると三分の一になり、半分になって、最後は質問までした。講師はちゃんと答えてくれたので、通じたんだなと自信になった。英語を通じさせるには気力も必要なんだ。怯むことなく、自分の考えを集中して、シンプルに伝えれば通じるのだ。情熱が必要であり、構文よりも、相手が解らない場合には例え話をするばいいのだ。そうれも自信に溢れたポーズですればつうじるのだ。屯場の質問という実験の成功によって、中学からはじまって37年間英語の集大成に成功した屯場は自信となったのであった。会話はコミュニケーションなので、熱情による自分の考えを相手に伝えることが重要なんだ。何も恐れることはない。欧米人に直接コミュニケーションして理解されれば、勝利なんだ。講義の内容を理解して、疑問が生じたら質問をして、講師が長い説明をしてくれることは英語が通じたということであり

屯場の勝利なんだ。そこには全然喋れない東大の現役生もいたが、日本の最高峰であるが英会話に関しては最低だった。屯場に昼休みには英会話のできるようになる方法を訊いていたのだった。

 マーティーンも運良く。英国の憲法を受講していて、総勢10名ぐらいの少人数制のために、会話をするチャンスがあった。その場で、5円玉をマーティーンにプレゼントした。その時の悦び用はなかった。ピンク色に染まった白い顔から最高の笑みが零れた。嬉しそうな顔を見ると、屯場は内心興奮していた。

 それで余計、質問をしたくなってしまった。ようするに、いい顔したかったのであった。

 世界最高峰の英国の王室までが学ぶケンブリッジ大学での実際の研修は、今後の屯場の行く末に自信となって現れるが、何でも、オリンピックの金メタルと同じで、その道の一流になることが大切なのである。屯場の勤めた大手広告代理店も単体で世界一になったが、世界で勝負しなければ、日本の小さい島だけで勝負しても結局、江戸時代の鎖国のような状態では本当の意味での勝利者とは言えない。明治維新が富国強兵というスローガンによって、第二次世界大戦を引き起こした反省は、今年のヒット映画で名作の『関ケ原』で、もしも、西軍の石田三成が勝って天下を取っていたら、歴史は変わっていたかもしれない。

 石田三成の家紋も見れば分かる『大一大万大吉』は『万民が1人のために、1人が万民のために尽くせば太平の世が訪れる』ということであり、当時としては民主主義的な考えかただったので、徳川家康のような『士農工商』のような階級制度や鎖国などをしなかったであろう。豊臣秀吉のように百姓からの大名になったように石田三成も決して、出がよくなかったので、徳川家康のような名門の出ではないので、もっと、階級制度よりも自由平等に走ったであろう。300年にも渡る長き封建主義の結果の明治維新であったが、薩長連合とは結局は関ケ原の戦いの時に西軍だった毛利秀元や島津惟新入道などの援軍によるクーデターだったのである。西軍が天皇を担いだことは間違いだった。日本の2000年の中で天皇が政治に表に出たことがなかった。古代は蘇我氏や物部氏の豪族の時代。奈良、平安は貴族の時代。平安後期から明治までは武士の時代だった。殆どが実力者の時代であり、天皇が表に出ることはなかった。後鳥羽上皇など、表に出た時代では殆どが負けているのだ。

 戦後の国民主権の憲法はこのまま平和憲法で良い。屯場の学んだ英国の憲法は結局、英国には憲法がなく。慣習法で政治を行っているのである。歴史のある国は慣習が大切であるが、日本が第2次世界大戦に負けたからといって、日本の長い伝統の中での慣習をもっと、大切にした方がベターである。あまり、憲法をいじらない方がいいのじゃないかと屯場は思う。

『どうせ、管理する側の叫び』であって、国民から憲法改正の声が聞こえてこないのである。

 ケンブリッジに咲いた恋も、後にフランスの女子大生に5円玉をプレゼントしてマーティーンから嫉妬されて、厭な顔をされた思い出は、日本の女性も欧米の女性も嫉妬するというこtであり、屯場は人間学を学んだのだった。

                           ≪了≫

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階段の多い診療所 中川ハシル @hashirunakagawa

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