パラサイト

働いたら負け。そういつも言い聞かせてきた。

自分の両親はいつだって仕事の話ばかりしている。

じぶんはこうはならない。私はいつもそう思ってた。

そして結婚だってしないし子供も作らない。

学校も高校に行かなくても構わない。

そう思って15年がたった今。

私は本当に高校を、何処へも行けなかった。


小学校時代はそれなりに友人もいた。

容姿だってそんなに悪くない。正直、ある子役アイドルに似てるとしょっちゅう言われる。

母は私にたくさん服を買ってくれて、その服のデザインは決して古臭くないし、しかもちゃんと私に似合っている。

けれども、何故か友達は段々私から離れていく。

話したいことも一杯あるのだけど、そして次から次へと面白いと思う話はとめどなく私の口から溢れ出ていくのだけど

その途中で友達は笑いながら他の友達と話し出す。

しかも自分が好きな話ばかりをしていて、あまり相手の言う事を聞いてる風でもない。

私の周りはそんな人が運悪く多かった。


みんなと遊んでいても、あまり私に合わせてくれる人はいない。

みんな必死に背伸びして、急いで力任せにどんどん先に行ってしまう。

それが不安だと友達に話すと、きっとあなたはとても心が綺麗なんだね、だから感じやすいんだよ。もっと鈍感にならなくちゃ、なんて言われる。

私は鈍感になりたくないと思う。


鏡に向かってメイクの練習をする。

メイクをすれば少しは大人になれるかな。


教科書を開いてみる。

教科書は落書きだらけだ。

落書きの内容は嫌いな先生の悪口を友達と書きあった。

でもその友達も、受験となると急に私から離れてしまった。

私は勉強に向いてない。

男子にはモテる。

何もしゃべらなくても向こうから近寄ってくる。

手紙は今まで沢山もらった。


お母さんにいつも見せてる。

まだだめよ、そういうからまだ何もしてないけど

でもいづれ、この中からもらってくれる人が出てくるかもしれないねぇって話してた。


恋愛の話になると仕事に忙しい母も私の話をじっくり聞いてくれる。



そう、一年に一度くらいね。

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