第21話 21話

 5分ほど走って逃げると息が切れたので、岩に座って休むことにする。

 それにしてもどうしてサラマンダーの杖は急に使えなくなってしまったのだろう。

「サラマンダーの息吹!」

 大きな声を出して、サラマンダーの杖を強く振ってみるが、やはり炎は出ない。充電が切れてしまったのだろうか? だとしたら充電方法はどうすればいいのだろうか?

 せっかく無敵の武器を手に入れたと思ったのに!

 俺はポイッとサラマンダーの杖を捨てる。

「おい、俺様を捨てるとは無礼だぞ!」

 幻聴か? サラマンダーの杖から声が聞こえた。

「さっさと拾え! こんな人気のないところに置いて行くなよ!」

 そう言って、小さな炎の精霊のサラマンダーが、杖に上部から姿を現す。

「マ、マジか……」

 俺は言われた通り、サラマンダーの杖を拾う。

「お、お前サラマンダーなのか?」

「当然だ! 俺様はサラマンダー史上、ナンバー1イケメンのサラマンダー、フレリン様だ!」

 サラマンダーのイケメンと言われても、他のサラマンダーに会ったことがないからわからない。

「で、なんでこの杖の中にいるのさ?」

「それはお前あれだよ、弱っちい人間のためにボランティアさ」

「ふーん、ボランティアねー。どうせ、かわいいサラマンダーに化けた魔女に騙されて、この杖に閉じ込められたとかいう話なんだろ」

「……」

 雄弁だったフレリンが急に黙る。どうやら図星のようだ。

「なあ、フレリン、教えてくれよ。どうして、急に炎が出なくなったんだ?」

「お前、嫌な奴だからだ。俺様の力を利用してオーガやオークに威張っていただろ。だから、もう力を貸してやらない」

 そういうことだったのか。やっぱりちょっと、調子に乗りすぎていたな。

「そのことは反省しているからさ、また炎を出してくれよ」

「嫌だね。お前、友だちでもないし」

「そんなこと言わないで頼むよ! いつモンスターに襲われるかわからないんだからさ」

「友だちでもないのに、何で俺様がお前の頼みを聞かないといけないんだよ。友達でもないのに」

 なんだかフレリンの奴、さっきから友だち、友だちってうるさいな。もしかして、フレリンの奴……。

「頼むよ、フレリン、俺たち友だちだろ!」

「えっ、俺様とお前は友だちなのか」

 フレリンがくいていてくる。やっぱり、友だちがほしくてたまらないのだ。

「ああ、友たちだよ。っていうか、もう大親友じゃないか」

「そ、そうか、大親友かー。でも、いつ友だちになったんだ?」

「俺があの城で、フレリンを見つけた時さ。友だちじゃなかったら、見つけることできないだろ?」

「そうだな、俺様とお前は友だちだな」

「あとさ、フレリン、お前って言われるとちょっとムカつくから、タクマって呼んでもらえるかな」

「なんでだよ。友だちだったら、お前って呼んでもいいだろ」

「いや、ほら、親しき仲にも礼儀ありって言ううだろ。とにかくタクマって呼んでくれよな」

「わかったよ、タクマ」

「よし、よくできま……アチッ……」

 フレリンの頭をなでようとしたら、軽く火傷してしまう。

「それじゃ、フレリン、いくよ! サラマンダーの息吹!」

 俺はサラマンダーの杖を振る。

 しかし、炎はまったく出ない。

「アレッ……」

 俺はフレリンを睨みつける。

「フレリン、俺たち友だちだろ! さっさと炎を出してくれよ!」

「出したくても出せないんだよ、タクマ。充電が切れているんだ」

「えっ、充電式なのか?」

「ああ、俺様だって腹が減るからな。俺様が人間の心の炎を食べて、充電することができたら、また炎を出せるようになる」

「なんだよ、心の炎って?」

「うーん、説明するのは難しいけど、簡単に言うと勇気ってやつかな。何かを守りたいとか強く思う気持ちさ」

「なーんだ、それでいいのか。俺、結婚していてさ、妻のこと守りたいと思っているから問題ないじゃん」

「タクマ、本当に思っているのか?」

「もちろん」

「でも、タクマの心の炎、ほとんど消えかけているぞ」

「な、なんだって!」

 そんなわけがない。俺はナナ達のように強くなって、フミさんを守りたいと思ったんだ。その気持ちに嘘はなかった。今だってそう思っている。

「もしかしてタクマ、他に好きな女とかいないだろうな?」

 ギクッ。

「純粋な勇気でないと、心の炎は強くならないぞ」

「……」

 純粋……、俺には縁のない言葉だ。

「せっかく、友だちになれたのに残念だったな、タクマ。俺様の力を、タクマが使いこなすのは難しいようだ」

「そ、そんなーーー」

 俺は思わず屈み込む。

「俺様に誰か、他の人間を紹介してくれよ。もう何百年も心の炎を食べてなくて腹ペコなんだ。友だちだろ」

「他に人間はいないよ」

「またまた冗談きついぜ」

「本当だって。オーガやオークたちに全員食べられちゃったらしい」

「なんだってーーー!! それじゃ、俺様はこのまま腹ペコのままじゃないかーーー!!」

 フレリンもしゅんとする。

「ああ、でも“迷い人の村”というのがあって、そこにはここの世界に迷い込んだ人間がいるみたいだけどな」

「なに、それは本当か! よし、それじゃ今すぐその“迷い人の村”に行こうぜ!」

 フレリンが元気を取り戻す。

「それが“迷い人の村”の場所がわからないんだよ」

「……タクマ、お前本当にダメな奴だな。友だちとして恥ずかしいぞ」

「ああ、またお前って言ったな! 絶交するぞ!」

「悪かったよ。謝るよ。俺様、あの城で何百年も一人ぼっちだったんだよ。友だちでいてくれよ」

 確かに、あんな山奥の古城でずっと一人でいたら寂しくてたまらないだろうな。フレリン、辛かっただろうな。もう、そんな思いはさせたくないな。

「おっ、タクマ、今ちょっと心の炎が強くなったぞ」

「本当か! また炎を出せるのか?」

 フレリンは首を横に振る。

「これっぽっちじゃ、砂糖を一粒だけ舐めるようなもんだよ。腹のたしにはならないね」

「ちくしょう! どうやったら、心の炎が強くなるんだよ!」

 俺は近くの岩を蹴る。

 すると、突然岩が動き出す。

「痛いじゃないか、この人間野郎……」

 ゴ、ゴーレムだ! オーガ族のヤーゴと同じくらいでかい!

「ち、違います! 蹴ったのは俺じゃなくて、こいつです」

 俺はフレリンを指さす。

「おい、タクマ、卑怯だぞ! ち、違うからな。俺様は何もしていないぞ!」

「本当なんです。蹴ったのはこいつなんです」

「杖がどうやって、蹴るというのだ! 嘘ばかりの人間野郎め! 許さぬぞ!」

 ゴーレムが巨大な拳を振り上げる。


 すると、上空にガーゴイルの群れが通過して行くのが見えた。

 嫌な予感がした。俺の嫌な感は残念ながらよく当たる。

「何をよそ見しているのだ!」

「悪いな。お前の相手をしている時間はない」

「何だ急に偉そうになりおって! お前など潰れてしまえ!」

 ゴーレムが拳を叩きつけて俺を潰そうとする。

「行くぞ! フレリン!」

「ああ、ゲポッ。満腹だ」

「サラマンダーの大放炎!」

 サラマンダーの杖から、ダムの放水のような猛烈な勢いで炎が放たれる。

「グ、グワワワーーー」

 岩のゴーレムでも耐えられず、あっという間に溶けてなくなる。

「急がないと……」

 俺はガーゴイルの群れが飛んで行った方向に駆け出した。



 嫌な予感はやはり的中した。

 ヤーゴとヘッチーが、ガーゴイルの群れに襲われていたのだ。ヤーゴもヘッチーも傷だらけになっていて、立っているのがやっとの様子だった。

「ヤーゴ、疲れたなら先に帰っていていいぞ。こんな奴らの相手は俺一人で十分だ」

「何言っているんだ。ヘッチーの方こそ先に帰れよ。オイラは健康のためにもうひと暴れしていくから」

 本当に仲良しのコンビなんだな。羨ましく思えた。自分が囮になって、お互いを逃がそうとしている。

 俺はヤーゴとヘッチーのコンビが好きだ。

「フレリン、友だちっていいな」

「ゲポッ。俺様とタクマもあんな風になれるのか?」

「さあな。いっぱい食べたか?」

「ああ、破裂しそうなくらいだ。ゲポッ」

 ガーゴイルの群れのリーダーが、

「覚悟しろよオーガとオークめ! 仲間の復讐だ! 皆、やってしまえ!」

と命じると、上空から一斉にヤーゴとヘッチーに襲いかかる。


「サラマンダーの連射矢!」

 巨大な炎の矢がサラマンダーの杖から連射され、ガーゴイルの群れに命中する。

 ドサドサッと、ガーゴイルの群れが落下する。

「お、おのれ……グワッ」

 ヘッチーが棍棒で、ガーゴイルのリーダーの頭を殴る。

「すまん、ヤーゴ。殺してしまった」

「気にするなヘッチー。オイラだって、同じことしたよ。っていうか、オイラがそいつを始末するって決めていたんだぞ!」

「早い者勝ちだ!」

「こういう時はじゃんけんだろ!」

 またヤーゴとヘッチーのケンカが始まる。『サラマンダーの連射矢』が、ヤーゴとヘッチーにも当たってしまっていたのだが、まったく気にしていないようだった。本当にタフなコンビだ。

「なあ、タクマ」

「どうしたフレリン」

「タクマは普段は心の炎が今にも消えそうなくらいめちゃくちゃ弱いけど、強くなる時はハンパなく強くなるんだな」

「そうなのか?」

「ああ、俺様の前の前の友だちのレジェンド魔女よりも、腹一杯になる」

「前の前の友だちって、フレリンをこの杖に閉じ込めた魔女のことか?」

「そうだ。山菜と毒草を間違って食べて、ポックリさ」

「毒草を食べるなんて間抜けな魔女だな」

「目が悪くなっていたし、心の炎も弱くなっていたからな。魔女でいるのも大変なんだよ」

「魔女でも心の炎が強くなるのか?」

「人間たちから、絶滅寸前のモンスターたちを守ろうとしていたんだ」

「そうか……」

「そうさ……」

「よろしくな、フレリン」

「ああ、よろしくな。もう、俺様を裏切ろうとするなよ」

「お腹空いたなあー」

 ヤーゴとヘッチーがガーゴイルの群れを積み上げていた。

「おいこら、スルーするなよ」

「サラマンダーの息吹!」

 俺はガーゴイルを丸焼きにした。

「サンキュー、タクマ」

「それじゃ、オイラたちは飯にするな」

 ヤーゴとヘッチーが、ガーゴイルの丸焼きを頬張る。

「うめえー!」

「ああ、その小太りの奴、オイラが狙っていたんだぞ!」

「うるせえ! 早い者勝ちだ! あっ、2個食いはずるいぞ!」

「早い者勝ちだろ! ボリボリッ」

 ヤーゴとヘッチーが食べているガーゴイルたちは、仲間の復讐をしに来た。どちらかというと、ガーゴイル達の方が正義なのかもしれない。でも、俺はヤーゴとヘッチーを助けた。追い払うだけでよかったかもしれないが、それではヤーゴとヘッチーに危険がつきまとうことになる。

 でも、やっぱり追い払うだけでよかったのかもしれない。もし、襲いかかって来たのが人間だったら、俺は命まで奪うことはしなかっただろう。いや、できなかったに違いない。それが、ガーゴイルだと許されるのか? 種族が違えば冷徹になれてしまう……。

「うめえーーー!! ズズズーッ」

「あっ、そのメスのガーゴイル、オイラが狙っていたんだぞ! ボリボリッ」

 ヤーゴとヘッチーはおいしそうにガーゴイルを食べている。

 弱肉強食。世界はシンプルだった。ここも、俺たちの世界も同じだろう。そんなシンプルな世界に心という存在が誕生した。途端に世界は複雑になった。何のために心という存在は誕生したのだろう?

 考えてもわからない。とりあえず、はっきりしているのは、今俺は腹が減っているということだ。

「おい、ガーゴイルを食べるのは禁止されているんじゃないのか?」

「その頭が大きなガーゴイルは、オイラが次に食べようと思っていたんだぞ」

 俺は山積みされている丸焼きのガーゴイルを一体引きずり出すと、腕の部分に思いきり噛みついて、食いちぎった。思っていたよりも臭みもなくてうまかった。

「うめえーーー!!」

 そう叫んだ。心が楽になった。命を奪った罪悪感が、食べることで消えていく。

「だろう! 俺たちも約束をやぶって、人間を食っちまうか?」

 俺はサラマンダーの杖を、手から離して置いていた。

「タクマ、気をつけろよ!」

 フレリンが俺を心配してくれる。

「大丈夫だよ、フレリン」

「ウソだよ! タクマはもう俺たちの友だちだからな。食うわけないだろ!」

「そうだ! タクマはもうオイラたちの友だちだ。オイラたち、友だちは食わない! 例え餓死してもだ!」

「チッ、オーガとオークの冗談は何百年経ってもつまらないな」

 フレリンがすねた表情をする。内心はこうやってワイワイやることを楽しんでいるのだろう。

 種族が違っても、仲良くなれる。それは、俺たちに心があるからだ。人間の脳は10%しか使用されていないという話を聞いたことがあるが、あらゆる種族は心の力を1%くらいしか使いきれていないのではないだろうか。心にはもっと大きな力があるような気がした。

「決めた。“迷い人の村”に行くのはもうやめよう」

「ははーん、さては面倒くさくなったんだな。オイラも“迷い人の村”を探すの面倒くさいから賛成だ」

「俺たちはかまわないが、どうして“迷い人の村”に行くのをやめるんだ?」

「その必要がなくなったからだよ。ヤーゴとヘッチーにお願いがあるんだ」

「オイラたちにお願い?」

「何だ、言ってみろ、俺たちは友だちだからな」

「俺を鍛えてほしい! 強くしてほしい!」

 サラマンダーの杖に頼っていても、強くなることはできない。ちゃんと修行して、ナナ達みたいに強くなって、フミさんを守れるようになるんだ。

「ゲポッ。どうやら本気みたいだ。ゲポッ」

 よかった。フレリンも一緒に食事できたようだ。

「そういうことなら、任せておけ!」

「無敵のオイラが強くしてやるぞ!」

「何を! 俺の方が強いぞ!」

「また減らず口を。今度こそ決着つけてやる!」

「望むところだ!」

 俺はサラマンダーの杖を手に取り、

「サラマンダーの涙!」

と言って、火の球をヤーゴとヘッチーのお尻に放つ。

「アチチチッ! 俺の自慢のケツにまた何をするんだ!」

 お世辞にもキレイと言えないそのケツのどこが自慢できるんだ?

「オイラ、これくらいの熱さなら気持ちよくなってきたぞ」

 ウウッ、その巨体でマゾっ気があるのか……。友だちとはいえ、ちょっと引くぞ……。

 まあ、とにかくヤーゴとヘッチーがケンカをやめてくれてよかった。

 このまま楽しい食事を続けたい気分だった。

「脳ミソもうまいぞ。ズズズーッ」

 ヘッチーがおいしそうに、ガーゴイルの脳ミソをすする。

「ほら、食べてみろよ」

 俺が食べていたガーゴイルの頭を、ヘッチーが棍棒で砕いてくれた。何だか今日は、ウニがたくさん詰まっているように見えた。

「ズズズーッ。……うめえーーー!!」

「だろう! ダハハハハッ!」

「こんな人間見るのオイラ初めてだ! グワッハハハハッ!」

「ウウー、俺様も食べたいのにーー。いつか、この杖から出てやるぞーー!」

「そっか、それじゃ、修行しながら、フレリンを杖から解放できる魔女を探そう! それでいいかな、ヤーゴ、ヘッチー」

「ああ、もちろんさ」

「タクマの友だちは、オイラたちの友だちだ」

「ヤーゴ、オッチー……、オーガとオークのくせにいい奴らだな……ウワーー」

「あ、熱いよ」

 フレリンが感動して、火の涙をこぼす。

「ズズズーッ」

 それにしてもうまいな。明日から、修行開始だ。たくさん食べて、英気を養おう。

「よし、それじゃ、始めるか」

 ヘッチーが棍棒を手に取って立ち上がる。

「オイラたち厳しいから覚悟しろよ」

 ヤーゴも斧を手にして立ち上がる。

「えっ、始めるって……」

「修行に決まっているだろ!」

「今から? 今日はもう疲れ……」

「立て、タクマ! オイラたちは待つのは嫌いだ!」

 ヤーゴもヘッチーもやる気満々だ。こうなったらもう、言われた通り修行を始めるしかない。

「それで、どんな修行をするの?」

「なに、簡単だ」

「オイラたちが襲いかかるから、反撃してこい」

 ちょ、ちょっと、それ本気ではないだろうな……。

 ヤーゴとヘッチーの目がキラキラしている。

「行くぞタクマ!」

「オイラたちが強くしてやる!」

 そう言って、ヤーゴとヘッチーが俺に襲いかかって来る。

「ウ、ウワーーー!」

 俺は猛ダッシュで逃げる。

 ヤーゴとヘッチーは容赦なく、棍棒と斧で俺に攻撃して来る。

 一発でもまともに当たったら、俺は二度とフミさんに会えなくなってしまう。

 俺はなんとか、ヤーゴとヘッチーの攻撃をかわす。

 ここ最近、ナナ達に毎日のように殴られていたから、ヤーゴとヘッチーの動きが若干だが、遅く見えた。

「なかなかやるじゃないか」

「それじゃ、オイラたちも準備運動終わりにして、本気出すとしようぜ」

 えっ? まだ本気出していなかったのか。

 先ほどよりも俊敏かつ力強く、ヤーゴとヘッチーが攻撃をしてくる。

 俺はあと1cmで当たっていたくらい、ギリギリのところでなんとか避け続ける。

「タクマ、ファイトー!」

 フレリンはのんきにその様子を楽しんで見ている。ヤーゴとヘッチーとも友だちになったから、俺がどうなってもいい思っているんじゃないだろうな!

「よそ見してていいのか?」

 ヘッチーは俺を直接狙わずに、棍棒で岩を粉砕した。その破片が飛んできて、前が見えなくなる。

「オイラたちは無敵のコンビなんだぞ!」

 風圧でヤーゴの斧が振り降ろされているのがわかった。俺はその風圧から逃げるように、ジャンプした。

「今のも避けるとは、タクマ、お前……」

「よし、特別にオイラたちのコンビ技、まだまだ見せてやる!」

「い、いや、特別にとかいいから……」

「タクマ、今、ヘッチーのお前って言われたぞ! 怒らないのか!」

「今はそれどころじゃないだろ!」

 ヤーゴとヘッチーが一段と生き生きとした表情になる。

 どうやら、今日は徹夜の修行になりそうだ。無事、朝を迎えられるといいが……。

 ヤーゴとヘッチーが、斧と棍棒を振りかざす。

 こうして、美人の剣士に体を密着して修行する妄想とはかけ離れた、とんでもない修行が始まったのだった。

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