第53話 なまものでなくて良かった
寝言で遂に「オレ オマエ マルカジリ…」と言ってしまっていたらしくメ〇テンの外道属性疑惑が取れなくなってきたおくさんだ!夫にメガ〇ンよろしく「今後 トモ ヨロシク」と言ったら「速攻で(悪魔)合体の素材にするわ」と返ってきた。
夜のお誘いだろうかグギギ…♡
悪魔合体で思い出した。
今回は最近常連になりつつあるFlesh(敢えて変換しない)な店に行った時の話を書こう。
店主を通じて知り合ったカメラマンから先日写してもらった写真を貰った際に店主の話題が出たのでしばらくぶりに行ってみることにしたのだった。
いつも訪問するたびに(サービスに無い)お菓子を出してくれたりするので今日は差し入れに何か持って行ってあげようと、その日の私はお店の最寄り駅のスーパーに寄って買い物をした。
会計を済ませる時レジかごの中には、お菓子と一緒になぜか日本酒と塩も入っていた。
この店は日陰側にありいつも外気よりもひんやりしているのがデフォだ。が、この日は入った瞬間に変な寒さを感じた。
「いらっしゃ…」
「こんにちはー、はいお土産。てか会わなかった間に変なとこ行ったでしょ。」
入るやいなや、言葉が口を突いて出た。
「実は…」
と語りだした店主は、案の定心霊スポットに行っていた。
ついでに変なものも買っていた。
「あ、そうそう。今日は新しいものを仕入れたんですよー。」と店主は嬉しそうに重箱のようなものを持ってきて私の目の前に置いた。
外が漆塗で裏が朱塗、三段の重箱よりも少し大きいサイズのドーム型の容器だった。
周りの気温が一瞬下がったような気がしたので、きっとアレなものに違いない。
なまものでなくて良かった。
こういう時のおくさんの勘は結構当たるのだ。
「なんかうすら寒い感じがするんだけど、これヤバくない?」
「わかります?これ首桶なんです!ほらほら開けてみてください凄いですから!」
目をキラキラさせながら店主が首桶を持って迫ってくる。
「わー、いいからいいから!!」
とは言ったものの、店主がシュンとして捨てられた子犬のような目でこっちを見てくるのに耐えきれなくなったので、意を決して開けてみることにした。
思ったよりも悪い感じがしなかったので細部を観察してから店主に返した。
(用途から考えると)きっと数百年ほど前のものだろう。その割には保存状態もよく、丁寧な作りをしていた。しげしげと観察する私に向かい「それ、さっき来たお客さんもめっちゃ震えて帰ったんですよねー。高かったんだけどなぁ。」と店主がにへらと笑いかけてきた。その残念そうな笑顔が一瞬怖かった。
雰囲気に耐えきれなくなった私は、そもそもこんなものどこから仕入れてきたんだ…もとい買う前に部屋を片づけろ、と突っ込む前に、「家帰ったらその日本酒と塩ぶちこんで風呂入ってさっさと寝れ!」としか言えず、そそくさと退店したのだった。
及び腰で。
その日、家について夫に会った時の安堵感は半端なかった。
結婚していて本当によかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます