第52話 そりゃぁ千円札の肖像にもなるわ
古民家カフェでのおハイソ読書会に行ったはずなのに、なぜか金髪碧眼のアメリカ人J(仮名、新キャラ)とひたすら味噌を捏ね、途中で合流したマダムの友人のフランスお姉さんに(私飽きてやめて人数が足りないからと)ペタンクに押し込まれ訳が分からないままプレーしている間に一週間が終わった。それよりも衝撃だったのは、マダムの平均睡眠時間が2時間を切っていることを片道4車線の国道を飛ばしながら打ち明けられたことだった。
えっと、何を話そうとしたっけ…ちょっと今週は衝撃が大きくて一瞬忘れてしまった。
あっ、そうだ漱石だ。
漱石の「彼岸過迄」最後まで読んだけど、ラノベばりのやれやれ系主人公(ニート、自称:高等遊民)がニート仲間の友達に「お前のおじさんの口聞きでいい仕事にねじ込んで!」と言う舐めプをかました結果、口聞きする代わりにある人物の尾行を頼まれて探偵をする話だった。何も情報は分からなかった上、オチはおじさんの壮大な釣りという大変にグダグダな種明かしで終わった。
気付いたら途中から友達の方が主人公になっていたりとグダグダ感溢れる日常系小説だった。なんというか種死かってくらいに主人公の影が薄かった。
そんな友達は友達でツンデレ系幼馴染(美少女で従兄弟でお嬢様)が親公認でフラグ立てまくってるのに「やれやれだぜ」とスカしまくっているうちにライバル登場、(自分に自信が無くて)アプローチしないくせにライバルがフラグを立てようとすると、ライバルには対してではなくなぜか彼女に向かってヒスを起こし「もう帰る!」と家に帰って行くという現代でもびっくりな女々しさを発揮していた。
なお、後日追いかけてきた彼女と家(実家住まい)で大げんかしてその後どうなったのかすらも投げっぱなしジャーマンで終わっていた。本当にグダグダだった。
閉じて思わず「やれやれだぜ」という感想が出た。
が、明治の時代に日常系・やれやれ系ジャンルを流行らせようともがいた先見の明が漱石の文豪と呼ばれる理由なんじゃないのかとふと思ってしまった。
(いい悪いは別として)そりゃぁ千円札の肖像にもなるわ。
最後に、千円といえばマダムが「実家の整理をしてたら見つけたの」と旧千円札を持ってきていた。マダム、タイムリー過ぎて凄い。
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